BACK TO HOME

第320回 EMILIO LOCURCIO "L'Eliogabalo"

EMILIO LOCURCIO - "L'Eliogabalo"
1977 ITALY UNA SORS CONIUNXIT ZPLU34023 (Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★

Member :

Rosalino Cellamare, Lucio Dalla, Teresa Desio,
Emilio Locurcio, Cladio Lolli


Side (A)
1. Monologo d'Opertural Lotto Quelles
Che Mi E Stato Zolto la Chuioglio
2. Veglia: Autoritratto Dentro Stanze Elettroniche
3. Veglia: Giovanna Labbromorto
4. Viaggio: A Scaldarci Al Vino Dolce Dei Kim
5. Viaggio: Nal Finestrumo del Treno  
6.
Ferrovia Celeste


Side (B)
1. Visione: La Primavera Feroce
2. Visione: La Scelta Di Essere
Veramente Liberi...
3. Visione: Eliogabalo Imperatore
4. Visione: La Gente in Strada
5. Ottesa: La Morte d'Eliogabalo
6. Ottesa: Avrertemre
7. Uttesa: Finalimo Per Ultra Imuzio


ポップ・オペラという名のもとに発売されたアルバムで、恐らくこれが 唯一の作品と思われる、イタリアン・プログレの快作・奇作です。

圧倒的なジャケット・アートからは、アングラでドライな感じのサイケ・ フォークの駄作ではないかと思わず警戒してしまいますが、冒頭の 怪しげなささやきで幕を明け、なんかやばいな・・と思い始めた丁度 その瞬間に来るギターの音色がまた実に怪しげで、オペラ劇場の裏の 真夜中のゴミ捨て場のような雰囲気が抜群です。

さてさてどうなるかと思いきや、まるでレアーレ(REALE ACCADEMIA DI MUSICA)のA-2の傑作のような深いピアノが静かに迫ります。 そして飛び出す、早口ヴォーカル、エミリオの登場です!

おーなんだこれは!?今まで聴いたことない唄法だぞ!!!と、ちょっと のけぞってしまった体勢を立て直す間もなく、ヴォーカルはエスカレート していきます。すわ、イタリアのエマニュエル・ブーズ(EMMANUEL BOOZ) か?名前も似ているぞ!?いや、もしかしたらそれをも超越しているかも しれません。

奥ゆかしいピアノの響きがヘヴィーに展開するあたりは、ギリシャの アクリタス(AKPITAZ)や同じくイタリアのファビオ・チェッリ (FABIO CELI)をも彷彿とさせ、このレコードを40年も聴いてこなかった 自分の人生が実に悔やまれるのであります。

全く飽きの来ない展開が一通り落ち着くと、泣き泣きギターの昇天に、 そしてまたかのピアノは初期のバンコ級、ギターはジャンボ級です。 リズムのブレイクとヴォーカルの巻き舌はビリエットが好きな人にも 応えられない展開だと思います。

B面は生ピアノ一本に時折ストリングスも入り、それをバックに 相変わらずの早口ヴォーカルが物哀しく、そして情熱たっぷりに歌い 上げます。素晴らしすぎる・・。

B-2はやや行き過ぎの感もありますが、そこを乗り越え一瞬プログレに 戻るかと思うと、ゲスト・ヴォーカルがさらに早口でまくしたて、 サックスまで入り混沌の極みに至ります。

くどすぎるヴォーカルがダメな人には向かない可能性もあり、好き嫌いが 激しく分かれそうな位の強いアクのあるアルバムですが、それこそが、 イタリアン・プログレの真骨頂とも言え、加えて『ポップ・オペラ』と いうことで静かな調べに、山あり、谷あり、涙あり…。熱き血潮は沸点に 達し、本当にめくるめく音迷宮は、イタリアン・フリークには ど真ん中ではないでしょうか?

しかしいまだにこんなのに出会えるからコレクターはやめられません。

節電の夏、エアコンを切れば『暑さ』を味方に更に『熱く』 楽しめる一枚です。でも熱中症にはご注意を!?


(2011.06.30)