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第134回 FABIO CELI E GLI INFERMIERI "Follia"

FABIO CELI E GLI INFERMIERI - "Follia"
1973 ITALY STUDIO 7 LP1101
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★★★★★

Member : 

Fabio Celi(vo,key), Ciro Ciscognetti(ds,key),
Rino Fiorentino(b), Luigi Coppa(g,harmonica),
Roberto Ciscognetti(ds)


Side (A)
1. Follia
2. Uomo Cosa Fai
3. Il Capestro



Side (B)
1. L'artista Sadico
2. Il Presidente
3. Distruzione




FABIO CELIファビオ・チェッリ)という謎のイタリア人がINFERMIERIインフェルミエリ)というグループと共同で発表したこの唯一の アルバムは、80年代の所謂イタリアンプログレブームの時にもほとんど 注目されなかった自主製作盤です。

発表は73年となっていますが、噂では69年にレコーディングされたとも 言われているアルバムで、もしそれが事実だとすればその水準の高さには 驚かされます。

内容はヘヴィプログレの真骨頂とでもいうべきもので、うねりをあげて 疾走する2台のキーボードとヘヴィなリズムの上をFABIO CELIが狂った ように熱唱するというスタイルで、熱さという点ではイタリアの中でも トップクラス。

全体の曲構成はよく練られているようで、八方破れでもあり、なかなか 掴み所がないのですが、BIGLIETTO PER'LINFERNO(ビリエット・ペル・ インフェルノ)で鼻血を流したことのある人はきっと好きになるアルバム だと思います。

キーボードがヘヴィーに攻めるところの音の感じが とても良く似ています。 全般的に大作指向で曲は作られていますが、特にA-2、B-1の出来が白眉。 A-2での上り詰めていくような後半のリフレイン部分はこの手の音が好きな 人には答えられないような興奮を味わうことができます。

そしてB-1。映画「オーメン」を思い出させるような荘厳で不気味で スピーディなピアノのイントロにバカテクドラムスが絡むと、もう アドレナリンを押さえることはできなくなります。 そこに更にFABIO先生のヴォーカルが畳み掛けてくるともう大変です。 イギリスのARTHUR BROWNアーサーブラウン)、フランスのEMMANUEL BOOZエマニュエル・ブーズ)を彷彿とさせる血のたぎるような独特の 歌声は好き嫌いの分かれるところかも知れません。

そうは言っても音的には絶対にイタリアでしか出せない音です。 このスタジオ7とかいうわけのわからん自主レーベルは、裏ジャケの クレジットによるとナポリのレコード会社のようですが、なるほどこの 熱さはナポリならではのものだと妙に納得してしまいました。 ナポリタンパワー恐るべし(?)です。

ハードロックを追求している人で、ブリティッシュロック以外のものにも 興味を持ち始めている人には絶対に聴いて欲しいアルバムです。 CAPITOLO 6キャピトロ・セイ)なんか聴く前にまずはこっちを聴いて 欲しいなと思います。 狂喜乱舞する内容そのものを表しているようなジャケも絶品ですね。 QUELLA VECCHIA LOCANDAクエラ・ヴェッキア・ロッカンダ)の2ndと 並ぶ傑作ジャケットだと思います。


(2003.11.20)