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第176回 JUMBO "Vietato Ai Minori Di 18 Anni?"

JUMBO - "Vietato Ai Minori Di 18 Anni?"
1973 ITALY PHILIPS 6323 025
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★★

Member : 

Alvaro Fella(vo,g), Vito Balzano(ds,vo), Samuel Conte(key,vo)
Pupo Bianchini(g), Dario Guidotti(flute,g,vo)
Aldo Gargano(b,g)


Side (A)
1. Specchio
2. Come Vorrei Essere Uguale A Te
3. Il Ritorno Del Signor K.
4. Via Larga


Side (B)
1. Gil
2. Vangelo?

3. 40 Gradi
4. No!



70年代初頭に3枚のアルバムを発表したイタリアの個性的なヘヴィ・プログレッシヴ・グループ、ジャンボJUMBO)。ここで紹介するアルバムは3作目にあたるもので、かつ彼らの最終作です。

『血気盛ん』とか『血沸き肉踊る』といった表現がぴったりくるような、爆発的な熱さが充満している作品で、流れ出る汗はイタリア以外では絶対に経験のできないものでしょう。

これに圧倒されないロックファンはいないのではないか、というくらいの超ド級のA-1は、これ1曲でいいので多くの人に聴いてもらいたい位です。

クセの多いイタリアプログレ界においてもこのヴォーカルというの一二を争うくらいのクセの強さで、このA-1を例えて言うなら、全部入りじゃんがらラーメンドロソースを入れて、それを白雪姫に出てくる おばあさんが毒入りりんご鍋に入れて2日間ほどコトコトと煮込んでみました、みたいな濃さとでも申しましょうか、エマニュエル・ブーズも真っ青です。

そして押せ押せでずっと行くのかと思いきや、いきなりのブレイクの後フルートとピアノの美しい調べが平気な顔をして飛び出してくるところが、イタリアン・プログレならではのもの。この甘辛の妙にハマるかどうかが イタリアン・プログレにハマるかどうかの試金石と言っても良いのではないでしょうか。

そして、A-2。これも凄い。

日曜日の早朝のサンピエトロ大聖堂の礼拝(知っとるんか!?)のような荘厳な響きで幕を明け、懺悔のような優しいベースラインと水あめのようなギター。ぼんやりと油断して聴いていると、一転してキグレ大サーカスのエンディングで出演者全員が舞台に現れたかのように全楽器が飛び出す賑やかな展開。おおそうかとばかりにいい気になっていっしょに盛り上がっていると今度はまた急に静かなピアノの調べ。

自転車に乗って全力で走っている飼い主の横を同じスピードで走っていたのに飼い主に急ブレーキを踏まれてしまった時の犬のようなちょっとマヌケな状況になっている自分に気付くのです。

この2曲のインパクトが強すぎるので他の曲はなかなか印象に残りにくいのですが、それでも一度針を下ろすと最後まで聴いてしまう不思議なA面です。

A面のエンディングがまた凄くて、さっきまで機嫌よく眠っていた子供が突然逆ギレして叫び出したようなヴォーカルで終わります。

B面は混沌としていますがそれでも緻密に計算されつくしているような不思議な音世界で、まるで前衛的な劇をみているような内容で、これもハマるとなかなか抜け出せないものがあります。

アルバムタイトルは『18歳以下じゃだめなの?』みたいな意味だったと思いますが、歌詞がわかったらきっともっと面白いんだろうと思います。

(2005.02.20)