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第116回 EMMANUEL BOOZ "Dans Quel Etat Jerre"

EMMANUEL BOOZ - "Dans Quel Etat Jerre"
1979 FRANCE POLYDOR 2393 259
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★

Member : 

Emmanuel Booz(vo),  D'Agostini Jean-Claude(g),
Charrieras Charlie(b),  Mathias Maurice(ds),  
Tinayre Giles(key),  Didier Lockwood(violin),
Majhun Jean-Louis(violin)


Side (A)
1. Ode Aux Rats


Side (B)
1. La Symphonie Catastrophique
2.
Armoire Et Persil



フランスというとロック不毛の地という印象が強く、ロックファン、プログレファンにとっては縁の薄い国ではあります。MAGMAGONG等のプログレの名グループは存在するものの、 ハードロックというとほとんど思い当たるのがないというのが、実情です。

ここで紹介するEmmanuelBoozという人はそもそもフランスのシャンソン系の歌手で、このアルバムは彼の4枚目にあたるもの。

彼の作品ではオーケストラを大々的に導入した2ndアルバムか本作のどちらかが代表作として紹介されることが多いようですが、 その2ndアルバムはプログレとは言ってもちょっとクセのあるものなので、これにトライして『なんだ、こんな感じなのか』と諦めてしまった方も 多いのではないでしょうか。というのも実は私自身がそうでして、この4作目を聴くまでは『Boozはいまいち』と言ってまわった(?)ものです。
しかし、この4作目でそれまでとは全く違った様相を呈します。バックの演奏が根本的に違っていて、シャンソンとかプログレなんていう生易しいものではなく、 まさにハードロック。

特に恐怖のA面は1曲構成になっているのですがまったく間延びしない濃厚な内容で、雷鳴の如く響き渡るギター、嵐のようなキーボード、 狂人のようなDidier Lockwood(マグマにも参加していた人です)のヴァイオリン、そして十字架を手に悪魔と戦う神父の呪文のような Boozの凄まじいヴォーカルが見事に一体化した奇跡的な作品で、はっきり言ってジャケットの雰囲気そのものです。 暴風雨の中を大声で歌っているような他に絶対まねのできないようなこの歌声を耳にした時の衝撃は、イギリスのArthurBrown以来のものでした。

B面も同様のテンションのまま進行していくのですが、この呪文を唱えているようなヴォーカルに更に拍車がかかります。みなさんは徳川埋蔵金の 赤城山発掘の時に御祓いにでてきた怖そうな僧侶を覚えていますか。あの人が発掘の前に凄い形相でお経を唱えていましたが、どっちかというとあんな感じです。 (この表現って判りやすいのか否か・・・。

その生き生きとした歌声に、この人がやりたかったのは絶対にこっちだと思うのですが、如何でしょうか。人間の歌声はどんな楽器にも負けないと 改めて再認識させられました。プログレファンよりもハードロックファン(特にArthurBrownが好きな人)に薦めたいアルバムです。