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第229回 ITOIZ "Ezekiel" |
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ITOIZ - "Ezekiel" |
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RARE度:★★★★★★★★ |
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Member : |
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Joseba Erkiaga(flute), Antton Fernandez(key), |
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Side (B) |
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幻想的で郷愁漂うモノクロの素晴らしいジャケットに包まれたバスクの至宝です。 このイトイズというグループは、スペインバスク地方にも良質な音楽が 存在するということを我々プログレファンに知らしめた貴重な存在です。 1stアルバムも熱い叙情たっぷりのバスク臭漂う素晴らしい出来でしたが、 この2ndアルバムではより完成度が増し、更によりアコースティックな アプローチになっているため、プログレファンのみならずとも、ユーロ・ロック・ファンにとっても絶対に見過ごせない一枚です。 A-1ののっけからのエレキギターの一瞬のうねりに「すわ、アードヴァーク (AARDVARK)か!?」と色めきたちますが、アルバムが進行する程に 素朴感が増していくという優しい作品で、ところどころで活躍する フルートの音色は完全に叙情派フィールドのもの。とてもかのイアン・ アンダーソン(Ian Anderson)が使っている楽器と同じものとは 思えません。 サックスも効果的に導入されており、これが独特の味付けとなり、 イタリアでもイギリスでもないオリジナリティ溢れる音楽を確立して います。 そしてB面はと言えばもうなんと言ってもB-1です。 ピアノのやわらかい音色に導かれて登場するゲスト参加の女性ヴォーカル、 イツアール(ITZIAR ※No.221をご参照下さい。)の天上の響きは、 数あるフィメール・ヴォーカルに慣れている貴兄でも衝撃を受けるに違いありません。 ほとばしる瑞々しさも文句なし!オパス・アヴァントラ(OPUS AVANTRA)も泣いて謝るんじゃないか、っていうくらいの一点のにごりもない美しさです。 B面後半では曲の冒頭に古めかしい汽車が去っていくような音が挿入されているシーンもあり、それがまた雰囲気抜群で、その後に続くフルートとアコースティック、素朴なヴォーカルも最高。心の奥底に響いてくるやわらかい旋律は、高校の校庭あたりに忘れてきたであろう何か(って 何だ?)をきっと思い起こさせてくれます。 1st同様アルバム全体の整合感がないのですが、聴けば聴くほど違った表情を見せてくれる本当に不思議なアルバムです。 こんな作品をよくぞこのファー・イーストまで運んでくれたな、と発掘者には心から感謝したい気持ちですね。ジャケット通りのセピア色に包まれたバスク屈指の名盤です。 はしゃぎ過ぎた夏の終わりにぴったりの一枚ではないでしょうか。 (2006.8.30) |