第62回 AARDVARK "Same Title" |
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RARE度:★★★★★ |
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Member : |
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Frank Clark(ds), David Skillin(vo), Steve Milliner(key), |
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Side (A) |
Side (B) |
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英国のDERAMレーベルというのはDECCAレーベルの傘下(所謂100%子会社ってやつでしょうか..)のレーベルで、DECCAでは出せないような新進気鋭のアーチストを世に送り出すために設立されたようです。
そのDERAMレーベルでは「NOVAシリーズ」というプログレッシヴな連中ばかりを取り扱ったシリーズがあり、ここで紹介するAARDVARKの他に、ASHKAN、BLACK CAT BONES等もこのシリーズです。
このAARDVARKですが、A面1曲目からいきなりディストーションがかかったノイジーな音が飛び出してきます。これを初めて耳にした時は、「なんかヘヴィメタっぽい音だな。」と感じただけであまり興味も湧きませんでした。
ところがその後また別の機会にどこかのレコード屋でこれを耳にした時、「これがキーボードの音だから凄いよな」という誰かの話しを聞き、印象が一変。その場で慌てて購入しました。
確かに裏ジャケのクレジットを見てみると、このグループにはギタリストがいないんですよね。
あの骨太の音色がキーボードだとは、本当に驚きです。全く70年代のロックというは色んなことをやる人がいるもんです。
A-1ではゴリゴリの押せ押せのハモンドがいかにもヘヴィーロック然としていて、かなりハードな印象が強いのですが、全般的にはそれほどエッジのたったハードロックではなく、なんとなく丸みを帯びたサウンドとなっています。
キーボードとリズムセクションの演奏は確かにハードロック的なんですが、アレンジが柔らかい感じなので、聴いていてあまり疲れないアルバムです。
また、A面は全体的な曲の流れが素晴らしく特にA-1からA-2への切り替わりは圧巻の一言。
A-3ではヴォーカルにまでディストーションがかけられていて、これもなかなかカッコ良いんです。曲名は直訳すると「やることがいっぱい」って感じなんでしょうかね。
そしてB面は、ちょっとビックリするようなめちゃくちゃイケイケな出だしで、プロ野球のチームが優勝した瞬間にベンチから選手全員が飛び出してきて、そのまま監督を胴上げするまでのようなノリです。
そして、88年に中日ドラゴンズがリーグ優勝した時のように、興奮したお客さん達までもがグラウンドに乱入してしまい、グラウンド内はもはや収拾がつかなくなり、せっかくの戦勝気分もヘナヘナヘナとなってしまった、そんな感じを彷彿とさせるような内容です。
内容も去る事ながら、このアルバムの素晴らしさはジャケットにもあります。
もうこれ程マニア心をくすぐるデザインが他にあるだろうかというもので、壁に飾りたいレコードジャケットとしては5本の指に入るんじゃないかと思います。