BACK TO HOME

第333回 ARTWOODS "Art Gallery"

ARTWOODS - "Art Gallery"
1966 UK-DECCA LK4830
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★

Member :

Art Wood(vo), Derek Griffiths(g), Malcolm Pool(b),
Jon Lord(key), Keef Hartley(ds)


Side (A)
1. Can You Hear Me
2. Down In The Valley
3. Things Get Better
4. Walk On The Wild Side
5. I Keep Forgettin'
6. Keep Lookin'


Side (B)
1. One More Heartache
2. Work, Work, Work
3. Be My Lady
4. If You Gotta Make A Fool Of Somebody
5. Stop And Think It Over
6. Don't Cry No More




ジョン・ロードが亡くなってしまいました。
享年71歳だそうで、もうそんなお歳だったのですね。

ロック・ファンにとって、ジョン・ロードといえばディープ・パープル、 そして、ディープ・パープルといえば、私以外にも大勢の若者(?)が、 あのハイウェイ・スターのオルガン・ソロでブッ飛んで卒倒してしまった ことでしょう!

そのジョン・ロード氏がディープ・パープルの前に在籍していたのが、 今回ピック・アップした『アート・ウッズ』です。その名前の通り、 ヴォーカルのアート・ウッドが率いるグループで、アート・ウッドとは、 かのローリング・ストーンズのロン・ウッドの兄。ミュージックシーンを 引退後はデザイナーになるそうですが、その前には、弟Ronnieらと、 Quiet MelonというFacesの元となるバンドも結成したりと、この時代の キーパーソンの一人でもあります。

さて、このアルバム。

内容自体は典型的な60年代UKモッズ・サウンドですが、ジョン・ ロードのパープル初期の香りを感じさせる素晴らしいオルガン・プレイは、 アルバム全体の雰囲気が変わる程の存在感です。

A-1のイントロの音を3秒聴いただけでタイム・トリップ。部屋の 雰囲気が一変します。

ハーフパイントのギネスのグラスを手に、むさくるしい若者が集まっている薄暗い板張り床の、いわゆるブリティッシュ・パブに移動したかの 気分で、音からタバコの煙の臭いさえ漂ってきそうです。初期 ムーディー・ブルース(MOODY BLUES)スモール・フェイセズ(SMALL FACES)っぽいところもあったりで、音はモッズのど真ん中です。

ヴォーカルのアート・ウッドの結構ダミ声は、アニマルズを意識して いたんでしょうか。うまいか下手かは微妙ですが、雰囲気は抜群。 バンドのサウンドとはフィットしていると思います。

ギターも全体的に控えめながらも、ソロをとっているところは実に 良い味を出していて、オルガンには負けますが、それなりの存在感を 示していますし、バンド全体の調和を考えるとこれくらいでちょうど 良いと思います。

さらに、ドラムスはキーフ・ハートレイ!振り返るとメンバーも豪華 この上ありません。

カバー曲中心の構成ですが、突出していいという曲もないかわりにどれも 少しづつ表情を変えて、本当に心地良い音楽です。まさに、タイトル通り、 『アート・ギャラリー』!!

ジャケットも雰囲気たっぷりです。ジャケだけで欲しくなります。

さらに、レーベルはデッカですか、やっぱりネ、という感じです。

最先端の楽器ではないからこそ出せる、太くシンプルな音は、むしろ、 どんなに腕達者な人がコピーしてもなかなか出せるものではなさそうで、 そこにフレッシュなパワーがみなぎった、グレイトなサウンドは、 現代のクラブシーンでも通用するのではないかと思います。

商業的には、全く成功しなかったというこのアルバムでさえ、これだけの 音が入っているのですが、改めて60年代の音楽シーンというのは、 すごい世界だったんだなと、痛感します。

これからの音楽シーンは?

この暑さです。

亡きジョン・ロードを偲び、60年代に浸って、もっと熱くなっては いかがでしょうか?

(2012.7.30)