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第275回 MOODY BLUES "The Magnificent Moodies"

MOODY BLUES - "The Magnificent Moodies"
1968 UK-DECCA LK4711
(Beat Rock)

RARE:★★

Member :

Denny Lane(vo,g), Ray Thomas (flute, harmonica, vo),
Mike Pinder(key), Clint Warwick(b), Graham Edge(ds)


Side (A)
1. I'll Go Crazy
2. Something You Got
3. Go Now!
4. Can't Nobody Loves You
5. I Don't Mind
6. I've Got A Dream


Side (B)
1. Let Me Go
2. Stop
3. Thank You Baby
4. It Ain't Necessarily So
5. True Story
6. Bye Bye Bird


サテンの夜の大ヒットで有名なムーディー・ブルースは、プログレ、サイケのグループとして語られることが多いのですが、その実、初期はザ・フーTHE WHO)も真っ青のゴリゴリのR&Bを演奏していました。

このデビュー・アルバムはそんなR&Bがたっぷり詰まった作品で、ビート系 ロックに興味のあり、かつ初期のプロコル・ハルムPROCOL HARUM)が大好きでたまらない、というような方にとっては、きっと愛聴盤となる事でしょう。

大ヒットしたA-3はヒットしただけのことはあって、文句無しに素晴らしい出来です。この曲のためだけにこのアルバムを買ってもいい!という位良いです。

哀愁漂うヴォーカルとジェントルなピアノの響きは確かにこの後プログレ・グループに羽ばたくことを予感させてはくれますが、それでもこれは生粋のビート・ロックだと思いますね。ボクは。

特に縦に刻むピアノは一聴した限りではその深さは伝わらないくらい深く、 その分聴きこむと甘酸っぱすぎて大変なことになります。
メーテルと別れ汽車は旅立つ・・、そんなシーン(ないですか?)のバックで流したら一生モンですね。
プロコル・ハルムの2ndに漂っているウェットさと同じウェットさです。

この曲以外はビート・ロックというより、バリバリのリズム&ブルースがこれでもかこれでもかと収められているA面ですが、ところどころで ピアノが幅を利かすのがこのグループの特徴ですね。

尚、A-5は、絶対にザ・フーの1stを意識してるでしょ、ってツッコミを入れたくなるような仕上がりで、あまりに意識しすぎているせいか、もう思いっきりタメまくりです。
逆にこっちを先に聴いたら、フーのは 物足りないかもしれません。

基本的にはこの当時のブリティッシュ・ビートのグループは総じてこういう音をやりたかったんだろうな、という感じの安心できる音がアルバム全体を支配しています。
ヤードバーズYARDBIRDS)の1stストーンズROLLING STONES)の1st、ザ・フーの1st、このあたりと仲間です。

ちなみにB面ラストの『バイ・バイ・バード』は異常に盛り上がります。演奏が。
貧相な楽器での限界点にまで到達してしまったような印象は、まるでヤードバーズの『アイム・ア・マン』のようです。
後半のリズム隊の爆発力は凄まじいもので、背水の陣の如く一歩も引かない決意をとくとご堪能頂ければと思います。

(2008.01.20)