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第224回 SMALL FACES "From The Beginning"

SMALL FACES - "From The Beginning"
1967 UK DECCA LK4879
(Beat Rock)

RARE:★★★★★★

Member :

SteveMarriott(vo,g), Ronnie Lane(b,vo),
Ian McLagan(key,vo), Kenny Jones(ds)


Side (A)
1. Runaway
2. My Mind's Eye
3. Yesterday, Today And Tomorrow
4. That Man
5. My Way Of Giving
6. Hey Girl
7. Tell Me Have You Ever Seen Me


Side (B)
1. Come Back And Take This Hold On Me
2. All or Nothing
3. Baby Don't You Do It
4. Plum Nellie
5. Sha La La La Lee
6. You Really Got A Hold On Me
7. What'cha Gonna Do About It


スモール・フェイセズの2ndアルバムは、言うまでもなくザ・フーTHE WHO)と双璧をなすモッズの雄です。個人的にあまりにも思い入れが 強すぎて正当な評価が書けない嫌いがありますが、このグループはどの作品をとっても本当に宝物ばかりだと思います。

イミディエイト・レーベルに移籍してからは音楽的にも格段に進化し、評論化筋にも受けのいい作品を連発しているので、どれか一枚と 言われるとイミディエイト時代のものを選ばざるを得ないんですが、デッカ時代の2枚にもそれはそれで違った良さがあります。

とにかく本当にイキが良くて熱い。若くて青い部分もありますが、その未消化な勢いとエネルギーも素晴らしくて、まるでスーパータイガーが いた第一期UWF時代の、前田日明のようなカッコよさがあり、完成されたものが全てでは決してないということをこのアルバムは教えてくれます。

ビートルズBEATLES)の『プリーズ・プリーズ・ミー』にも同様のフレッシュさがありますが、爆発力はこちらの方が一枚上手ではないでしょうか。 イキの良さでは世界で5本の指に入ると私は思います。

ハード・ロックではないのですが、ロックを初めて聴いたときにロックに求めていたものってこういうものだったと、原点に立ち返ることのできる 作品です。

A-1の『ランナウェイ』のかっこよさと言ったらもう!!

オグデンOgdens' Nut Gone Flake)』では失ってしまった何かが間違いなくある名曲・名演です。ライヴになっているこの曲の最初のうなり声に続いて滑り出すマリオットのヴォーカルの素晴らしさは、鳥肌どころの騒ぎではありません。60年代の雰囲気を真空パックにして 閉じ込めておいたものを今ここで開けてみましたかのようなスインギング・ロンドン振りです。この曲はいろんな人がカバーしていますが、間違いなく世界最高のランナウェイです。

全英1位を記録した代表曲『オール・オア・ナッシング』はB面に収録されているのですが、初めてこの曲を聴いたときはとにかく感動しました。今の若い人に聴かせたい曲です。できれば、是非ともモノラルのクリアでないサウンドで楽しんで欲しい一曲です。

そして1stアルバムにも収録されている超元気ナンバーの『シャ・ラ・ラ・ラ・リー』。“ロック”とは言えない範疇の曲ですが、これこそが彼らのオリジナリティで、他の60年代ビート・グループの誰にもまねの出来ないサウンドとノリだと思います。

以前、知人に薦めたら『う〜ん、ちょっとロックじゃないですよね、これは。ボクはこういうの好きじゃないな。』なんて言われたことがあります。ロックを聴こうとリキが入っていると、大概こういう反応に なるので、できるだけ真っ白な気持ちで聴かなければいけない曲なんだと思います。

スクーターで女の子を迎えに行くときにバックで流すとぴったりです。今時そんな場面があるのかどうかは疑問ですが。


(2006.7.10)