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第326回 OSANNA "Milano Calibro 9"

OSANNA - "Milano Calibro 9"
1972 ITALY-FONIT CETRA LPX14
(Progressive Rock)

RARE:★★★

Member :

Lino Vairetti(vo,g,key), Elio D'Anna(flute,sax),
Danilo Rustici(g,key,vo), Lello Brandi(b),
Massimo Guarino(ds)


Side (A)
1. Prelude
2. Tema
3. Variazione I
4. Variazione II


Side (B)
1. Variazione III
2. Variazione IV
3. Variazione V
4. Variazione VI
5. Variazione VII
6. Canzona


いまだに活動を続けるイタリアン・プログレ指折りのグループです。

民族色の濃い超個性的なデビュー・アルバムから一転、この2ndは映画の サントラとなっており、大胆にオーケストラを導入しています。

この時期のイタリアン・プログレにはオーケストラを導入したアルバムを 発表しているグループがいくつかあり、特にニュートロルズのコンチェルト・グロッソの如き素晴らしい傑作も出ており、ひとつの 流行りだったのかもしれません。

オーケストラの導入は、ブリティッシュ・ロックでも見かけますが、やはりイタリアのクラシカル・プログレが一番で、室内音楽的な要素が 強いイタリアン・ロックとの相性は抜群だと思います。

ニュートロルズの作品が突出しているので少し割りを食っている感は ありますが、ぶっちゃけ個人的には甲乙つけがたいと思います。コンチェルト・グロッソがA面全体だけにとどまっているのに対し、 こちらはA面、B面通しとなっており、もっとロック的・プログレ的要素も 強く、時にはムゼオ・ローゼンバッハを思わせるようなリズム・チェンジも とてもカッコいいです。

B面冒頭は恐ろしいまでのヘヴィ・フルート。そしてその後はとにかくヴィーなギターのリフがうなりをあげます。

A面は全体にクラシカルで叙情性が強く、B面は全体にヘヴィー・プログレです。最初から最後まで非常に起伏に富んだバラエティ溢れる内容で、まったく最後まで飽きさせません。

B面後半のヘヴィーな展開は後のパレポリをも凌駕する圧倒的なダイナミズムで、凄まじいギターとリズムが極太に大暴れし、汗びっしょりになったところにやがて静寂が訪れ、あの永遠の名曲につながっていきます。

B面ラストを飾るこの名曲は、アクの強いヴォーカルの個性的な声のバックを、桃源郷に滴る雨雫のような奥ゆかしいピアノがたんたんと刻む、 屈指の名曲。後半は、ストリングスの嵐とヘヴィー・ギターのソロで更に盛り上げ、そして静かな歌声が闇に消えていく、二度と出会えないような 作品です。

余談ですが、チケットの高額さに相当ひるんだ先日のイタリアン・プログレのイベントにも思い切って行って参りました。本作品の完全 再現を披露してくれたオザンナのライヴは、その生のオーケストラの 素晴らしさに予想以上に感動し、なんとか我ながら値段なりの落とし所を 見つけることができ思いです。ただ、ヴォーカルがあのメイクで 名曲カンツォーナを歌い上げたのはちょっと不思議でした。

恐るべしイタリアン・プログレ、、、大枚はたいたのに、また春には異なるラインナップで来日ライブがあると知り、ここは欲しいレコードを 押えてチケット代にあてるべきかと、大いに迷っているところです。

(2012.1.10)