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第298回 JIMMY PAGE "Outrider"


JIMMY PAGE - "Outrider"
1988 UK-GEFFEN P8651
(Hard Rock)

RARE:

Member :

Jimmy Page(g), John Miles(vo), Robert Plant(vo),
Chris Farlow(vo), Tony Franklin(b), Durban Laverde(b),
Felix Krish(b), Jason Bonham(ds), Barrymore Barlow(ds)


Side (A)
1. Wasting My Time
2. Wanna Make Love
3. Writes Of Winter
4. The Only One
5. Liquid Mercury


Side (B)
1. Hummingbird
2. Emerald Eyes
3. Prison Blues
4. Blues Anthem


ジミー・ペイジ(Jimmy Page)が伝説のザ・ファーム(THE FIRM)を 解散後に発表した歴史に埋もれた1枚です。

ツェッペリン解散後に出したソロ・アルバム以来の作品で、こちらは サントラではなくきちんとしたアルバムで、ロバート・プラント(Robert Plant)やボンゾの息子、ジェイソン・ボーナム(Jason Bonham) クリス・ファーロウ(Chris Farlowe)等名だたるラインナップで リリースされました。

88年という我々70年代コレクターからしたら所謂『最近の音楽』に 部類されるので、リアルタイムで体験しただけでなく、なんだかこの 新譜が店頭に並んでいた日が昨日のように思い出されます。

A面はロック・サイドといった感じでロバート・プラントも参加。ドラムス もジェイソンなので『スワ、レッド・ツェ・・!?』と思いがちですが、 ハッキリ言ってしまいますと・・イマイチです。

ジェイソンもボンゾの息子だから大目に見てやりますが、まあ力強さは 感じるものの、なんだか打ち込みのようで個人的にはこれもいまいち。 じゃあ、もう、あんま期待できねえな・・、などと気楽に構えていたら、 失敗します。

クリス・ファーロウが全面的に参加したB面を『ブルース・サイド』と 呼び、物凄いことになってくるのです。

B-1から英国臭充満のあの世界が広がります。

コロシアム(COLOSSEUM)アトミック・ルースター(ATOMIC ROOSTER)の 後期にペイジが参加したような錯覚さえ覚えます。ゆったりとしながらも 誰にもマネできない栄光の70年代がここにありました。欲を言えば ジェイソンのドラムスがもう少し・・・というところが唯一残念か。

しかし、なんという深いヴォーカルでしょう!

そして休憩(?)のインストロメンタルのB-2をはさんで、絶頂のB-3へ。 これはもう80年代ブリティッシュ・ブルース・ロックの最高傑作と 言っていいかと思います。

とにかく、カッコ良すぎるヴォーカルに、聴き惚れていると、それに 触発されたかのように、ペイジのギターも完全に70年代へ!!まさに 『君から離れられない』のスタジオ・ライヴのような鬼気迫るギターを 披露してくれます。

世界最高のヘタウマ・ヴォーカルとヘタウマ・ギターの関が原とでも いいましょうか。誰にもコピーをゆるさないオリジナリティなのです。

前ソロ作『ロサンゼルス(Death Wish II)』を遥かにしのぐ内容は、 ジャケのイマイチさと、A面の普通さを差し引いても、手元に置いておく 価値アリの一枚だと思います。

(2009.08.10)