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第244回 COLOSSEUM "Valentyne Suite"

COLOSSEUM - "Valentyne Suite"
1969 UK VERTIGO VO1
(Heavy Progressive Jazz Rock)

RARE:★★★★★

Member :

John Hiseman(ds), Dave Greenslade(key),
Dick Heckstall-Smith(sax), Tony Reeves(b),
James Litherland(g)



Side (A)
1. The Kettle
2. Elegy
3. Butty's Blues
4. The Machine Demands A Sacrifice


Side (B)
1. The Valentyne Suite
- Theme One January's Search
- Theme Two February's Valentyne
- Theme Three The Glass Is Always Greener



まさかこの年になって、彼らを生で観ることができるなんて思ってもみませんでした。人生長生きしているといいこともあるもんだなぁと 思います。行って参りました。コロセアムのライヴ!

ジョン・ハイズマンのパワフルなドラムスは健在でしたし、体型は、かなり凄くなっていましたが、目をつぶれば当時と遜色のなく迫力の 歌声のクリス・ファーロウにも感動しました。デイヴ・グリーンスレイドは、もうなんか『赤頭巾ちゃん』に出てくるおばあちゃんのように なっていて(失敬な!)、それでもあの湿り気のあるフレーズを淡々と奏でられると、本物なんだなって思いましたね。クレムソンは、老眼鏡の せいか、ハード・ロックの人とは思えない知的な風貌になっていて、ギターの音色以外では、どうしてもこの人がハンブル・パイHUMBLE PIE)の『アップ・アワー・スリーヴUp Our Sleeve)』で燃えたぎるギターを弾いていた人だとは思えなかったです。いずれにしても、30年も たっているんだから、と自分を励ましています。

ということで今回はコロセアムです。

ブリティッシュ・ロックに興味のある人ならジャケットだけでもどこかで見かけたことがあるのではないでしょうか。次作が内容・メンバーともに 凄すぎるので、実は、個人的にはこのアルバムをあまり重要視していなかったのですが、やっぱりB面の組曲は大変です!

ジョン・ハイズマンは、ずっと昔、音の悪い小さな白黒テレビでアメリカの番組をぼんやり見ながら眠ってしまった時の曲、ってな事を言って いたと思うのですが(英語力に自信ナシ・・・)、私なんかうとうとしていてもせいぜい役満あがる夢くらいしか見られないのに、アカデミックな 人は大したものだと思います。うとうとしてこんな曲が作れるのなら、もうどんどんうとうとしてくれ!って感じです。

コロセアムの曲はサックスが大々的に入ってくるので、ハードロック好きには抵抗があるかもしれませんが、サックスの音っていうのは聴き込めば 聴き込むほどいい味が出てくる、言わば高いデニムみたいなものなので、多くの人に聴いてもらいたいです。

この曲、出だしが異常にかっこよくて、ジョン・ハイズマンの人間業とは思えないオカズの後に夕焼けの一瞬サックスが横切ったかと思うと、 英国臭いっぱいの湿り気のあるオルガンが入ってくるというとんでもない事態になります。

途中のブレイクの後にサックスがゆったりと奏でるあたりはもうロンドンの曇り空、にごったテムズ河って感じで、たまらないものが あります。そしてハモンドの響きもこれまた超英国的。その後も美しく哀しくそして激しいインプロヴィゼイションが延々と繰りひろげられて いきます。

グラハム・ボンドGraham Bond)なんかもそうですが、この手のブリティッシュ・ジャズ・ロックは飲みながら聴きたいと思うんですよね。 今回のような『会場』ではなく、ロンドンの『クラブ』でギネスなんか飲みながら聴けばもっとゴキゲンだろうなぁ・・・、とそんな事を、 帰りに寄った居酒屋で焼酎を飲みながら思いました。

(2007.02.20)