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第292回 HAIZEA "Hontz Gaua"

HAIZEA - "Hontz Gaua"
1979 SPAIN-XOXOA X-11.105
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★★★

Member :

Xavier Lasa(g,horn), C.Busto(ds,xylophone,conga),
Xavier Iriondo(flute,g), Gabriel Barrena(b,contrabass),
Amaia Zubiria(vo)


Side (A)
1. Anderea
2. Egunam Hastapena
3. Argizagi Ederra
4. Arnaki


Side (B)
1. Hontz Gaua


アイセアは、70年代後半に2枚の作品を残している、スペインはバスク 地方を代表するグループです。

IOIOTSレーベルからの1stアルバムは、ジャケット通りの牧歌的で 優しい温かさに包まれた作品で、風(アイセア)と言っても高原の そよ風のようで、フィメール白昼夢患者には宝物のようなアルバムでした。

1stでやわらかい響きを聞かせてくれたギタリストのTxomin Artolaが この2ndアルバムには参加せず、その影響もあってか、こちらは闇夜を 思わせる作品です。

出だしのA-1でこそ、1stのようなリラックスしたムードが一瞬漂い、 『な〜んだ、そんなに怖くないじゃん』と油断してしまうのですが、 リラックスできるのはこの一曲だけだった、と気付いた時には既に 闇夜の入口です。

それにしても、人間の歌声の可能性には驚かされますね。

英国のフィメール・フォークをさんざん聴いてきた貴方(私?)、 サンディー・デニー(Sandy Denny)を越えるシンガーはいないと 断言される貴方(私?)、シャーリー・コリンズ(Shirley Colins)が 一番深いと思われている貴方(私?)、そんな考えを改める時かも しれません。

このどうってことのないA-1でさえ、ちょっと息を飲むほどで、単に フォーク・ソングと言ってしまえばそれまでですが、大ヴォリュームで 鳴らしてみると、足先から頭のてっぺんまで電流が走るかの如くで、 『キレイ』だとか『澄んだ歌声』だとかよりも、『神々しささえ漂う』、 と言えば大袈裟かもしれませんが、『気高さ』で圧倒してくる感じです。

作品のつくり自体が1stにくらべてプログレッシヴでシリアスになって いる事もあるのでしょうけれども、それ以上に、歌声そのものの シリアスさがより研ぎ澄まされました。ただ、歌モノの範疇を越えて しまっている分、ヴォーカルの出番が少ないのが残念でなりません。

1曲構成のB面のタイトル・ナンバーではアマイアは歌ではなく楽器の ひとつになってしまった、とも言われており、何度も言うようですが、 今までに経験したことのない、そして忘れ得ない一枚になるはずです。

『癒し』を通り越したこの名作、仕事にイヤ気が差した時に、何度も 何度も聞いてしまうと、更に深みにはまり込み、もう娑婆には戻って 来られなくなりそうです・・・。

(2009.01.30)