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第99回 SANDY DENNY "Like An Old Fashioned Walz"

SANDY DENNY - "Like An Old Fashioned Waltz"
1973 UK ISLAND ILPS9258
(Folk Rock)

RARE:★★★

Member : 

Sandy Denny(vo), Pat Donaldson, Gerry Conway, Dave Pegg,
Dave Mattacks, Danny Thompson, Alan Skidmore, Ian Armit,
Jerry Donahue, Tervor Lucas, Richard Thompson,
Diz Denny & Rabbit

 

Side (A)
1. Solo
2. Like An Old Fashioned Waltz
3. Whispering Grass
4. Friends
5. Carnival

 

Side (B)
1. Dark The Night
2. At The End Of The Day
3. Until The Real Things Comes Along
4. No End
 


ハードロック少年だった私にとって、SANDY DENNYと言えば『ZEPPELINの天国の階段の前の曲でバックコーラスで参加しているただの人』という印象しかありませんでした。

そんな私も寄る年波には勝てず、年とともにブリティッシュフォークに目を向け始め、FAIRPORT CONVENTIONSTEELEYE SPAN等の王道フォークにはまっていって、ついにこの人の名前に巡りあった時、『おっ!この人はあのZEPPELINの…!』(逆だろおい)となんだか昔の人に再会したような懐かしい気分を味わったものです。

この人はいうまでもなくFAIRPORT CONVENTIONの2代目ヴォーカリスト(こういう言い方するとなんだかハードロックっぽくなってしまいますね)なんですが、FAIRPORTの作品で言えば、私は『Liege & Lief』の中のA面ラストとB面ラストが一番好きです。3作目に入っている『時の流れを誰が知る』も確かに名曲には違いありませんが、『Liege & Lief』の中のあの2曲の儚さには敵わないんじゃないかと思います。

それはさておき、ブリティッシュフォークには、名フィメールシンガーが数多くいるのですが、一番はやっぱこの人だと思います。ただ単に美しいだけでなく、この深みは一体なんなんだろう??と思うくらい深い声です。深いといえば、SHIRLEY COLLINSも深いんですが、彼女の場合は同じくらい厳しさも混じっているので、『いやあ、あんたのいうことは確かに正論なんだけどさあ』って感じの、ちょっととっつきにくい東大生という印象が強いです。SANDYの場合は深さと同じくらい柔らかみがあるので、聴いていて本当に筋肉がほぐれます。(ジャグジーじゃないっちゅうの)これこそ究極のヒーリングといえるのではないでしょうか。

FAIRPORT脱退後、彼女が発表したソロアルバムは合計4枚。ジャケの渋さと曲の気高さから、1stアルバムが最高といわれていますが、それは間違っています。最高作はこの3rdです。(おいおい)1st、2ndも勿論名作ですが、彼女の魅力を100%伝えているかというと、
ちょっとクエスチョンの部分もあり、そういう意味ではこのアルバムはもう魅力爆発(なんかふるい言い回し)です。

A-1のこのゆるやかさとやわらかさからくるスケールの大きさは、HUMBLE PIEの『Live With Me』級。そして永遠を誓うことのできるタイトルナンバーのA-2。こんなに素晴らしい歌声がいまだかつてあっただろうか、いやないに違いない。(ちょっと古典の例文風に)サビのところなんて、寒ボロ(鳥肌のことです)立ちっぱなしです。

そしてジャケットもまたいいんですよ。もし自分の家族がこんな風にきれいなジャケット写真になって、後世の多くの人の手に渡っていったら…なんか、イイですよね。