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第289回 SKARA BRAE "Same Title"

SKARA BRAE - "Same Title"
1971 IRELAND-GAEL LINN EF031
(Folk Rock)

RARE:★★★

Member :

Michael O Domhnail(g), Triona Ni Domhnail(vo),
Mairead Ni Domhnail(vo), Daithi Sproule(g,vo)


Side (A)
1. An Cailin Rua
2. An Suantrai
3. Banchnoic Eireann Oighe
4. Angela
5. Inis Dhun Ramha
6. An Saighdiuir Treigthe


Side (B)
1. Cad e Sin Don Te Sin
2. An Chrubach
3. Casadh an tSugain
4. Caitlin Og
5. Aird a Chumhaing
6. Ta Me mo Shui


アイリッシュ・フォークの中でも、内容・レア度ともにトップクラスに 位置する一枚です。

グループ名である、『スカラ・ブレイ』は、スコットランドの オークニー諸島にある遺跡だそうで、恐らくそこで撮影されたものだと 思われるジャケットが既に一級品の風格を見せています。

アイリッシュ・フォークを代表する『ボシー・バンド (BOTHY BAND』のの前身バンドと しても知られているので、アイリッシュ独特の床を靴底で鳴らす賑やかな 展開を想像して手にしてみると、全く逆の内容で、イケイケのボシー・ バンドを期待すると肩透かしをくらうので注意も必要です。

敢えてアイリッシュ・トラッド色を押し隠したかのような地味で地味で たまらない展開を見せる作品で、これが男性ヴォーカルだったら 耐えきれなかった可能性もありますが、充満する女性ヴォーカルのお陰で、 素晴らしい内容に仕上がっています。

そんな漆を塗り重ねたような奥ゆかしさを表現しているのはトリオナ・ ニ・ドムールとモレート・ニ・ドムールの姉妹で、『3美神的』とか 『天上の響き』ではなく、とても民間的で親しみやすさがあり、我々 東洋人の琴線に微妙にマッチする儚さだといえます。

例えば、スティーライ・スパン (STEELEYE SPAN) の1stのB面後半の、不思議な感覚と少し 似ているような、ちょっと摩訶不思議な感覚は、オランダのマック リール (MACREEL) がもっと正統派で表系なのに対し、こちらはその裏をいくような 感じです。

最小限の音数で響き渡る、楽器の音色のなせる業なのかもしれませんが、 そうそうこの雰囲気は再現できるものではありません。 絶対にジャケットはカラーにしてはいけない、そんな作品です。

また、少しこもったような録音が余計にくすんだ雰囲気も醸し出していて、 紀元前3000〜2500年前、新石器時代につくられたという 『スカラ・ブレイ遺跡』へのイメージが掻き立てられます。

遺跡とフィメール・フォーク!実にロマンチックではないでしょうか!?

ということで、スカラ・ブレイのアルバムは考古学ファンや 石器ファン(?)にも聴いていただきたい一枚とも言えると思います。

(2008.11.04)