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第279回 BLACK CAT BONES "Barbed Wire Sandwich"

BLACK CAT BONES - "Barbed Wire Sandwich"
1970 UK-DECCA NOVA SDN 15
(Heavy Blues Rock)

RARE:★★★★★

Member :

Rod Price(g,vo), Phil Lenoir(ds),
Stu Brooks(b), Brian Shoot(vo), Derek Brooks(g)


Side (A)
1. Chauffeur
2. Death Valley Blues
3. Feelin' Good
4. Please Tell Me Baby
5. Coming Back


Side (B)
1. Save My Love
2. Four Women
3. Sylvester's Blues
4. Good Lookin' Woman



フリーのメンバーが在籍していたことで有名な、ブリティッシュ・ ヘヴィー・ブルースの名バンドです。ただ、このアルバムにはフリーの メンバーは参加していません。

誰がつけたか直訳か、『有刺鉄線サンドウィッチ』とういうおどろ おどろしい邦題に、まず軽くインパクトを受けはしますが、この タイトルが『悪魔の毒毒モンスター』とかそんなB級映画を連想し、つい アルバムの内容自体もB級をイメージしていたら、ところがどっこい! 『タイトルちょっと違うよ〜!』と思わず口惜しくなってしまう位の 出来なのです。

ヘヴィ・ブルース・ロックのアルバムは世にあれども、このアルバムに 勝てるヘヴィ・ブルースというのはそうそう見当たるものではありません。 切れ味という点ではもっとすごい作品は他にもありますが、『重さ』と 『にごり』ではこれが一番です。

とにかく全般にわたってにごりまくっています。音色は極太。ギターも、 ベースも、ヴォーカルも。ジャケの怪獣(?)も。

特にひいてしまうのが、A-1のイントロのギターで、この太いことと 言ったらどうですか!?そしておきまりのミドルテンポを刻みだすと、 もうすでに彼らの独壇場で、今日はブルースなんて聴かないから、と、 どんなに頑張ってはいても、ヒクソン道場に殴りこんだ安生洋二です。 つまり絶対勝ち目なしなのです。

しかしそれにしてもこのブルース・ギターは凄い。

暗闇をのたうちまわるアナコンダのようです。ところどころで聴かれる 高い音色の部分はツェッペリンの初期のような雰囲気です。フリーで 有名なれど、フリーより全然重たいサウンドです。A-1はエンディングに 至っても、テイストの1stジェフ・ベック・グループの1st顔負けの 傍若無人さです。

続くA-2も負けていません。またしてもミドルテンポですが、A-1で既に 参っているので、私などは、かすっただけで簡単にダウンです。前曲に 輪をかけてゆったりと、そして深く重い。まぶたも重い・・・。(?)

そしてギター・ソロはツェッペリンの『貴方を愛し続けて(Sincs I've Been Loving You)』のMSGライヴのように扇情的で挑発的です。 1分も聴くと濃いアルコール(スピリッツ系)なしでは生きてゆけなく なります。

ジャケットのデザインもまた相当の濃い味で、こういう場合はジャケット とは対照的に、音は爽やか〜、というパターンが多いなか、本作は全く ジャケットを裏切りません。

余談ですが、このレコードもプレスの違いがハッキリしている一枚で、 英国盤の迫力が米盤では落ちているのが残念です。『重み』が違うので、 『凄み』が伝ってこないのです。未体験の方には是非一度、英国 オリジナル盤ならではの重量感を味わって頂きたいと思います。

尚、フランス盤はジャケットの怪獣が逆を向いています。

(2008.02.29)