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第44回
JEFF BECK GROUP
"Truth"

JEFF BECK GROUP - "Truth"
1968 UK COLUMBIA SCX6293 (Hard Rock)

RARE: ★★

Member : Jeff Beck(g) , Rod Stewart(vo)  , Ron Wood(b) ,  
Mick Waller(ds)
Side (A)
1. Shapes Of Things
2. Let Me Love You
3. Morning Dew
4. You Shook Me
5. Ol' Man River
Side (B)
1. Greensleeves
2. Rock My Primsoul
3. Beck's Bolero
4. Blues De Luxe
5. I Ain't Superstitious

ブリティッシュロック3大ギタリストの一人Jeff BeckYARDBIRDSを喧嘩別れして脱退した後に結成した自身のグループ。
本作はそのグループのデビュー作にあたり、同じ68年に発表されたLED ZEPPELINの1stと並び称されるブリティッシュハードロックの古典といわれています。
特にギター少年達にとっては、ジャケットを見ただけで思わず土下座してしまうくらいにグレートな一枚です。

ヴォーカルとギターが掛け合うっていうのも当時としては画期的な手法だったようで、このアルバムが初めてともいわれています。
当時Jeff Beckが『LED ZEPPELINの1stはこのアイデアを盗みやがった。けしからん。』と言って、怒っていたというのは有名な話です。

私がこの作品をはじめて聴いたのは80年代前半の学生の頃でしたが、このアルバムのメンバーを見てその豪華さに度肝を抜かれた時のことはよく覚えています。
もっとも驚きだったのが、Rod Stewartがヴォーカルとして参加していることです。
80年代のRod Stewartといえば、ピチピチ(なんか表現古いな)のズボンに、首にはスカーフという井出達で、歌っている曲は『Tonight I'm Yours』なんかだったりするもんですから、そんな人がこんなに偉大な作品に参加していたとは、昔の親父の写真を見せられて『ふ〜ん、父さん昔はカッコ良かったんだ』と思っちゃうような気分でした。

それから、後にFacesRolling Stonesと渡り歩くRon Woodもここではギターに触らせてもらうこともできずに泣く泣くベース(泣きのベース?)を担当しています。

A-1はYARDBIRDSのカバーなのですが、YARDBIRDSの方がブラバン(今でもこう言うのでしょうか)のような軽快な感じの曲だったのに比べてこっちの方は、カバーというには語弊があるくらいの迫力満点の曲になっています。
イントロのドラムスも岩盤削岩機のようなドドドドッドドドドッという感じで初めて聴いた時には『やったぜ、うるさいぜ!』と思わず握りこぶしをしてしまいました。
出だしの歌詞もYARDBIRDSでは『シェイプスッ』だったのが、こっちは『シェエイーープス』って感じで、全然違うんです。

A-2はブルースヘヴィロックの名曲。ステレオ技術が導入されたばかりの頃にありがちな、右のスピーカーからはギター、左はドラムスというのも時代を感じさせてくれて好(ハオ)です。
エンディングのところでRod Stewartが小さな声で『クレェェジイ』と囁くところにわたしゃしびれました。

それからA-3『Morning Dew』。この曲のイントロ、本当にいい雰囲気出していると思います。
徹マン明けの夜が白み始めた頃に帰宅してから聴いたりすると、疲れた感覚となんともいえない寒々しい夜明けの気分と絶妙にマッチしていて、最高の気分で床に着くことができます。

B-1の『Greensleeves』はあの名曲をアコースティックギターで美しく披露。
私はギターを弾かない(というか弾けない)ので、この曲のギタープレイの本当の凄さはわからないのですが、それでも『さぞかし凄いんだろうなぁ、へえー』と未だにこれを聴くとありがたい気持ちになれるのです。
静かなのはこの曲くらいなもんで、他はどの曲もゴリゴリです。本当に音が太いです。

Jeff Beck Groupの他のアルバムではこれ以外には、『Jeff Beck Group』(オレンジがジャケットに映っている所謂『オレンジアルバム』)が個人的にはお薦めです。
このアルバムに較べると迫力は劣りますが、完成度はそっちの方が高くて何回聴いても飽きません。
Cozy Powellの出世作としても有名です。
因みにこの時期のJEFF BECK GROUPは映像で見ることもできます。勿論必見であることは言うまでもありません。

Jeff Beckというと『Wired』等に代表されるようなクロスオーバー的な所謂歌無しのアルバムも多数出しており、そういうのも悪い訳はないのですが、私はやっぱりちゃんとヴォーカル入りのバンドを組んで、その中でギターソロとして颯爽と登場してもらいたいというのが正直な気持ちです。
いつギターソロが入ってくるかドキドキワクワクしながら聴く気分ってたまらないですよね。

最近もまだ活動を続けているようで、昨年はまた来日していたようです。
あんなにインタビュー嫌いなのに、日本のニュース番組に出演していたのにはビックリしました。
ちゃんとこのアルバムすら聴いたことないように思えてしまうキャスターにくだらない質問されているのを見て、無性に腹がたってきました。(あんな番組にでなきゃいいのに)