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第249回 LED ZEPPELIN "Same Title"

LED ZEPPELIN - "Same Title"
1968 UK ATLANTIC 588 171
(Hard Rock)

RARE:

Member :

John Bonham(ds), Robert Plant(vo),
Jimmy Page(g), John Paul Jones(b)


Side (A)
1. Good Times Bad Times
2. Babe I'm Gonna Leave You
3. You Shook Me
4. Dazed And Confused


Side (B)
1. Your Time Is Gonna Come
2. Black Moutain Side
3. Communication Breakdown
4. I Can't Quit You Baby
5. How Many More Times


ブリティッシュ・ハード・ロックの金字塔です。今更説明不要の伝説ですが、何度聴いてもやはり凄いものは凄いのです。

ヤードバーズYardbirds脱退後のジミー・ペイジが構想を練りに練っただだけに、匠が何重にも塗りかさねた漆のお椀のような重厚感、高級感、 一流感が威風堂々とただよう、正に王道中の王道です。

後期になると衰えをみせていくロバード・プラントの声も、買ったば のかりの蛍光灯のような輝きを発しており、彼の生涯の中で最も油ののった 瞬間を記録したものと言っても過言ではありません。

まず、ドラムスの刻みの瞬間に全てが決まってしまったとさえ言われる A-1の出だしのリフは、世界中のロック・ファンに多くの衝撃を与えた そうですが、個人的にはこの曲はあまり好きではありません。(おいっ)

このアルバムの中で私が一番凄いと思うのが、A-1からA-2にかけての 何ともいえないこの間です。絶妙の間ですね。この静寂を破って奏でられ 始めるアコースティックの響きと中世フランスの古城を彷彿とさせる 色艶やかで気品あふれるヴォーカルは、素晴らしすぎます。

初めてこのアルバムを買ったのは、とにかくハードなのが聴きたくて テンパっていた時代なので、A-2を聴いて『あんだよ、フォークかよ。』 などと吐き捨てたりしていたのですが、今から思うと、青すぎです。 バケツ持って廊下で立ってろ状態です。

さらにA-3に来ると、何を食べているとこんな曲が作れるんだろう?と 思わずにはいられません。当時のブリティッシュ・ブルースの持つ 横揺れの感覚をベースとしながらも、既に自分たちの世界を完全に作り 上げてしまっているところは、やはり並の力量ではないですね。

こんなめくるめく万華鏡のような世界で、クスリやって聴いたら、 さぞかし飛べるという話ですが、当時はこれも良さが全くわからなくて 『あんだよ、退屈な曲だな。』と、とばして(・・!)聴いていました。 これもバケツです。

そしてA-4。 ロバート・プラントも凄すぎますが、ボンゾ(ジョン・ボーナム)が さらに凄いのです。後半の怒濤の展開は、長坂波を駆け抜ける趙雲子竜マラドーナの5人抜きかというくらいの疾走感で、ロック史上に永遠に 語り継がれていくべきものです。

スーパーショウや他でもこの曲のライブ映像が見られるのですが、映像も 鬼気迫るものがあり、食事しながら見ると鼻からスパゲティ間違いなし です。個人的にはこの曲が彼らの中でいちばん好きです。

B面も完全無添加濃縮還元野菜ジュースですが、いちばん好きなのはB-4 です。ラスト・アルバムコーダ(Coda)にもライヴ・バージョンが 収録されているのですが、そちらはボンゾが半端じゃなく大暴れしており、 ドラムス・ファンは即死必至なのでそちでも是非聴いて欲しいと思います。

余談ですが、裏ジャケのジミー・ペイジの写真は、国生さゆりに そっくりです。王貞治にも似ています。

(2007.04.10)