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第239回 FOTHERINGAY "Same Title"

FOTHERINGAY - "Same Title"
1971 UK ISLAND ILPS9125
(Folk Rock)

RARE:★★★★★

Member :

Sandy Denny(vo,key,g), Trevor Lucas(vo,g),
Jerry Donahue(g), Gerry Conway(ds), Pat Donaldson(b)


Side (A)
1. Nothing More
2. The Sea
3. The Ballad Of Ned Kelly
4. Winter Winds
5. Peace In The Wind


Side (B)
1. The Way I Feel
2. The Pond And The Stream
3. Too Much Of Nothing
4. Banks Of The Nile


英国を代表する歌姫、サンディ・デニーが、フェアポート・コンヴェンションFAIRPORT CONVENTIONを脱退後に結成したフォーク・ロック・グループ唯一の作品です。

フェアポート・コンヴェンションに較べるとトラッド色は弱く、その分ロック系の音となっているので、ブリティッシュ・フォーク入門者にはうってつけの内容だと思います。

彼女はフェアポートの2ndアルバムからリード・ヴォーカルとして参加していましたが、どんどんトラッド指向に傾いていくグループから距離を置くかのようにこのフォザリンゲイを結成しました。

A-1なんかはフェアポートの2ndで彼女が歌っていた曲調に実によく似ており、恐らくその曲名の『フォザリンゲイ』からこのグループ名を つけたのではないかと思います。彼女の場合、派手なトラッド風の曲よりもこういうしっとりとした曲の方が似合うのです。

このA-1は聴けば聴くほどに味わい深い名曲で、雨の中、窓に打ち付ける雨雫を見ながら聴くのにはぴったりです。他の女性ヴォーカルが天上の 響きで勝負するのに対し、彼女の場合は、伸びやかな表情の曲であっても、静かで内省的な曲であってもどちらでも軽く歌いこなしてしまうのはさすがという他ありません。

続くA-2は後の彼女の傑作ソロ・アルバム群を彷彿とさせるもので、本当にじっくりことこと煮込んだスープという感じで、じわじわきます。 真冬の海岸をひとりたたずむようなそんな雰囲気でかもめの一羽でも飛んでそうです。いつまでも聴ける曲のお手本ですね。

また、このアルバムにはシリアスで暗い曲調のものばかりではなく、夫トレヴァー・ルーカスがリード・ヴォーカルをとる曲もあり、そちらは元気印。個人的にはやや遠慮して頂きたかったな、と・・。

そしてA-4もいい感じです。完全に冬の歌ですね。彼女とマフラー巻いてこれ聴きながら銀杏並木でも歩いたらいい思い出になると思いますよ、 きっと。まったく柄じゃないですが、今の時期にぴったり一枚かな、と言う事で。

個人的にはジャケットも好きです。
いいですよね。こういうの。


(2006.12.20)