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第19回
FAIRPORT CONVENTION
"Unhalfbricking"

FAIRPORT CONVENTION - "Unhalfbricking"
1969 UK ISLAND ILPS 9102 (Folk Rock)

RARE: ★★

Member : Sandy Denny (vo), Ashley Hutchings (b), Martin Lamble (ds),
Simon Nicol (g), Richard Thompson (g)

Side (A)
1. Genesis Hall
2. Si Tu Dois Partir
3. Autopsy
4. A Sailor's Life
Side (B)
1. Cajun Woman
2. Who Knows Where The Time Goes
3. Percy's Song
4. Million Dollar Bash

『ロックの王道をゆけ では70年代の良質なハードロック、フォーク、プログレを紹介しています。』と、のたまわっておきながら、第19回目にしてようやく初のフォークアルバムです。
さて、その記念すべき作品は、大英帝国の生んだ偉大なるトラッドフォークの大御所FAIRPORT CONVENTIONの3RDアルバムです。
FAIRPORT CONVENTIONというと最高傑作の名を欲しいままにした次作『Liege&Lief』があまりにも素晴らし過ぎるため、少々割を食っている感がありますが、『Liege&Lief』はそこらじゅう(というのは少々大袈裟ですが)でレビューされていますので、ここでは本作を紹介したいと思います。

このアルバムには前作から参加しているブリティッシュフォークの母、SANDY DENNY(というよりブリティッシュフォークの)代表的名曲『Who Knows Where〜』(時の流れを誰が知る)が収録されている事でも有名ですが、この名曲はサビの部分がそのまま曲名なので、我々日本人でも一緒に熱唱できてしまうのが嬉しいかぎりです。

この曲以外にも心に染みわたる曲が何曲かありますが、とりたててどうという事もないような曲もあり、それらがなんか雑然とした感じで配置されているので、ストライクとボールがはっきりしており、完成度という意味では今一つと言わざるを得ないかもしれません。
そうは言ってもストライクの曲は本当に素晴らしくて、雨の日曜日の朝に『今日は一日一歩も外に出ないんかも知れん..』と思いながら、A−1なんか聴いたらもう大変です。
この曲を聴くとなぜフォークファンがSANDY DENNYにそんなに騒ぐのかがよくわかると思います。
ややハスキーがかった優しい声の中にも僅かに強さも秘めている、そんな感じの大変奥ゆかしい声です。

また個人的にとても愛着のあるのがB−3で、この曲のリフレインはあのPENTANGLEの名作『Cruel Sister』のA−4に匹敵するしつこさで、永遠に続くような錯覚に陥る麻薬のようなリフレインです。
しつこいリフとは言ってもRICHARD THOMPSONのギターがとても表情豊かですので、決して間延びはしていませんし、ギターがキュルキュル鳴り響く後半部分は特に気に入っています。
(この曲は後に発売された編集盤『HEY DAY』でライヴバージョンを聴く事ができます)

私はこのアルバムで、はじめてSANDY DENNYという人と出会い(本当はZEPPELINのあの曲のコーラスで知っていました...)、ここでの彼女の歌声とSTEELEYE SPANの1STがこの後の私の人生を変えました。(これも少し大袈裟ですが)

FAIRPORTの入門用にはやはり『Liege&Lief』を推薦しますが、個人的な愛着の深さから、このアルバムも多くの人に聴いてもらいたいと思います。