第359回 DEEP FEELING - "Same Title" | |
1969 UK-DERAM NOVA SDN4 (Progressive Rock) | |
RARE度:★★★★ | |
Member : Dave Caswell(Trumpet,vo), Geoff Brown(g), Andy Abbott(b,vo), Richard Pannel(g,vo), Beppo(ds), John Smith(sax) |
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Side (A) 1. Skillet 2. A Modern Day Fairy Tale 3. Pastorale 4. I Wrapped Her In Ribbons 5. Children Of The Sun |
Side (B) 1. Got To Make It 2. Frog Galliard 3. Blood 4. Hear The Colours 5. I Wanna Be Back Home |
良く見るとこのイラストはギロチン!?この内ジャケのイラストは?・・・そんなジャケットに、A面B面ともに3曲という大曲構成とくれば、連想するのはブラックサバスやピナクルあたりの暗黒のヘヴィー・ロックやチープなB級サイケと思いきや、、、。
ディープ・フィーリングは、セッション・ミュージシャンによるユニットだそうで、唯一のアルバムです。 針を落としたA面出だしの一瞬(ほんとうに一瞬ですが)、爽やかなコーラスが出てきたときは、これはもうだめだ、失敗した!と冷や汗が噴出したのですが、そこは我慢して気持ちを落ち着けると、そのA-1から、展開はかなり複雑です。サビ(といっていいか)のあたりはグッときます。しかもじわじわくる感じで。あのイントロでこんな展開をさせるか?とまるで平田オリザさんの芝居のように静かに劇的です。 コーラスとアコースティックも入ってくると、相当な腕前に今度は手に汗です。フォークの方、HRの方、ソフト・ロック、そしてプログレ・ファンはいうまでもなく、楽しませてくれるゴージャスさ!! 続くA-2が打って変わって実に奥ゆかしく、CSN風のコーラスと切ないメロディーに、A1で盛り上がった気持ちも冷まして、きたるA3に備えましょう。 そのインストのA-3は、甘い感じのメロディ・ラインがなんとも郷愁を誘う感じで、インディアン・サマー(INDIAN SUMMER)のようなやわらかサウンドがドラマティックに展開します。ハモンドが演奏の中心なので、雰囲気はもうほとんどベガーズ・オペラ(BEGGARS OPERA)。ただあそこまでクラシカルに徹しきらず、もうちょい手前な感じ。 手数が多くないのにかなりのうまさを感じさせるドラムスとベテラン(勝手にきめるな)ベーシストの腕前が光ります。ベガーズ・オペラ程演奏は一定でなく、曲はかなり複雑に展開します。 複雑さという意味ではグレイシャス(GRACIOUS)のような複雑さです。そうです!グレイシャスからメロトロンを抜いた感じだと思います。 B面にいくともっと複雑化します。 複雑といってもクリムゾンの宮殿のB面のようなフリーすぎて辛い感じ(おっと)では決してなく、キャッチーなメロディが次々飛び出すので、実はロック入門者(って死語でしょうか)に向いているかもしれません。B-1のサビの畳み掛けはえらいカッコイイのです。ハモンドとギターが息を止めたままトイレに行くのを我慢してアタックしてくる感じです。 昔の木村健吾の稲妻レッグ・ラリアット(知りませんよね)みたいな高揚感があります。でもちょっとキャッチーすぎるという意見もあるかもしれませんね。ただレインボウ(RAINBOW)のアイ・サレンダーがイケればこれも絶対大丈夫です。 B-2の牧歌的な休憩(おい)を挟んで、B-3はキレキレギターで、おっ!すわジョーンジー(JONESY)かと思いますが、なんか意外と初期のジェフ・ベック・グループのようなうねりです。サビはハモンドですが、ここまでハモンドに好きにさせてきたギタリストの堪忍袋の緒がここで切れたか!?みたいな感じで大爆発。サーベルのような切れ味でかなりかっこいいです。ライブではアンコールでやるような曲ですね。 全体的に複雑ながらも筋は通っていて、とっちらかり感はなく、どんな曲も見事にクリアする卓越した演奏も安定していて、それでも目立ちたいオレオレ的なところは一切なく、安心して聴くことができるアルバムで、聴くほどに凄味を感じる一枚だと思います。 そして再びジャケットとクレジットをみて、そうです。B1のタイトルがギロチン!ややコンセプチュアルな試みもあるのでしょうか?やっぱり少し地味だとは思いながらも、ジャケにも意味があったのだと反省し、今年こそ、ジャケだけで内容を勝手に決めないと、これを新年の抱負とさせていただきたいと思います。 こちらのレコード在庫にあります! 4610021 DEEP FEELING/Same 詳細は→ http://bit.ly/1zWc44e (2015.1.10) |