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第325回 McCHURCH SOUNROOM "Delusion" |
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McCHURCH SOUNDROOM - "Delusion" |
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RARE度:★★★★★★ |
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Member : |
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Sandy McChurch(vo,flute), Heiner Althaus(g), |
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Side (B) |
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ジャーマン・ヘヴィ・プログレッシヴの隠れた名作の1枚です。 ジャーマン・ロックの王道レーベル、ピルツから出された作品では ありますが、彼らは実はスイスのバンドです。 スイスと言うと、かのトード(TOAD)もそうですが、音的にはドイツの ドロドロが適度に抜けた感じでかといってブルージーにならず、ビート色 は少なく、と、言ってしまえば中途半端なのかもしれませんが、そこに 絶妙の『クール』な肌触り感があって、非常に魅力的です。 この手のバンドにはアルバム1枚出して消える所謂一発屋が多いのですが、 ご他聞にもれず彼らこれ一枚のみです。 なにはともあれ、まずこのレコードはジャケットのインパクト!! 昨今であれば絶対こんなジャケにはしませんし、せっかくアルバム制作 までこぎつけたのに、これでは家族にも配れなかったのではなかったかと いらぬ心配までしてしまいます。しかも内ジャケのメンバーの写真は エフェクト処理されていますので、誰が誰かもわかりません。 さて肝心の内容ですが、のっけからいきなりのアコースティックな展開で ジェケットと中身を間違ったのではないかとも思う位、意表をつかれます。 が、ヤバイな…と冷や汗をかいているのもつかの間、すぐにダークな ヴォーカルとダークなベースが全体を支配していきます。このなんとも 煮え切らないヴォーカルこそがドイツならでは。(あ、スイスか) リズムがダダダダッと定期的に畳み掛けてくるあたりで、オォォォ!! ま、待っていました!!という瞬間が訪れます。手数の多いドラムスは オカズも多く、テクニカルで好感が持てます。 そして時折現れるフルートが独特の不思議な雰囲気を醸し出します。 プログレでフルートが入ってくるとイタリア的に陥りがちですが、 しっかりドイツしています。(だからスイスですが・・。) A-2にくるともうB級の真骨頂です。 「ドラマーの夢」という何のひねりもないタイトルですが、ドラムスが テクニカルに、それでいてさりげなくリズムを刻んでいきます。 ギターもよく鳴りますが、ドラムスが中心の曲です。 ちょっとジャムっぽくなりますが、それでも体勢は崩れずで、その あたりはプロデューサーの腕前でしょうか。予想とおりドラムソロも 入ります。これもフツウならスルーしてしまいがちなのですが、 上手さ故なのか、思いがけずじっくり聴いてしまうのです。 『素晴らしき世界』ライブサイドのジンジャー・ベイカーのソロよりも 聴けます。(おっと!) B面はよりダークでクールです。 いわばジャーマン・ロック界のiPhoneか、とでもいえるスマートさで、 怪しいベースと遠いヴォーカルは、ジャック・ザ・リッパーが徘徊する ロンドン(だからスイス・・)か。エロイをもっと崩した感じで、 フルートも実にイイのです。さらに畳み掛けてくる瞬間の、突然味が 濃くなるような感じにはハマらずにはいられません。 ソースかけすぎ感は保ちつつ、背中がゾクゾクするような大人向けの サウンドは、ジャーマン・ロックファンはもとより、ジャンルを超えて 受け入れられる名盤だと思います。 オリジナルは激レアですが、オリジナルで入手しても絶対に後悔しない、 そんな一枚です。 (2011.11.30) |