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第324回 BLONDE ON BLONDE "Rebirth" |
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BLONDE ON BLONDE - "Rebirth" |
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RARE度:★★★ |
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Member : |
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Leslie Hicks(ds),Gareth Johnson(g), |
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Side (B) |
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皆が大好きなボブ・ディランのアルバムタイトルをグループ名に 戴いていることで、突っ込まれっぱなしだったのではないかと、余計な 想像をするのですが、ウェールズ出身の英国プログレッシヴ・ロック・ グループです。先に申し上げます。隠れた名作です。 包容力満点の表情をした女性がなんとも魅力的なジャケットは、一度 見たら忘れられないデザインですが、彼らの最高傑作とも言える、 本作2ndアルバムの内容はジャケット以上に印象的です。 演奏自体はインディアン・サマーのような柔らかなドラムスと 目立ちすぎない楽器群の調和が見事で、曲も多様性に富んでいます。 しかしこのアルバムの特徴は、ヴォーカルに尽きます。 この頃のブリティッシュ・ロックにはまったく似つかわしくない ウェットな歌声で、ややエコー気味な加工も手伝って、非常に瑞々しく 伸びやかに歌い上げています。そう、まさしく『歌い上げる』という感じ。 しかし、イタリアンプログレのような『伝統的歌い上げ』とは異なり、 あくまでも、『ロック』の域を出ない歌いッぷりは聴く者を痺れさせます。 始まりのA-1が、何はさておきの名曲で、ピアノの調べも美しく、そして 躍動的な曲調、ギターも目立ちすぎない泣き泣きで、エコーなヴォーカル が空中をふわふわと舞うその微妙な重力の塩梅が独特です。まさしく A-1にふさわしい一曲です。バック・コーラスも更に浮遊感に拍車を かけます。 続くA面はバラエティに富んだ内容に飽きさせることを知りません。 後半に行くにつれハードに展開する曲もとてもよく練られています。 しかし!B-2まで来ると、プログレグループだぞ!と、言わんばかりに 長丁場で劇的な展開を見せ、盤をヒックリ返す前に聴いていたアルバムは 違うものだったっけ?と確認したくなる程です。 まじめに聴くとぐったりくるくらいの激しい展開をみせます。 そして、アルバムのラストを飾るB-3が予想通りの美しさで押してきます。 こういうアルバムはきっとB面ラストに名曲が来ているはずだ!と信じで 聴いていた私の期待を裏切ることなく、ピアノのイントロも奥ゆかしく、 そこだけで日曜午後の小春日和に南風吹く木漏れ日(??)という 世界です。 ピアノがイイです。ピアノとこのヴォーカルも相性抜群です。 少し間違えれば、そう80年代のあの『ニュー・ロマンティック』 (死語ですか・・・?)路線に転んでもおかしくないヴォーカルとも 言えますが、そこが70年という年代独特の空気で上等の『プログレ』に 仕上がっていると思う訳です。 ただ、プログレッシヴ・ロックといってもかなりハード・ロックの色合いの 濃いものですし、少し『ニュー・ロマンティック』っぽいヴォーカルと 言う事もあり、『プログレはちょっと…』と敬遠されかた方でも きっとお楽しみ頂ける一枚だと思います。バン!(太鼓判) (2011.10.30) |