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第317回 QUEEN "A Day At The Race" |
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QUEEN - "A Day At The Race" |
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RARE度:★ |
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Member : |
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Freddie Mercury(vo,key), Brian May(g,vo), |
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Side (B) |
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クイーン。そう聞いた時点で本を閉じた貴兄も多いかも知れません。 我々70年代ロック・ファンにとっては今や貴重な存在となったグループで、 結成40周年、フレディ没後20周年の今年は、豪華なリイッシューの 発売も間近です。ミュージシャン達の画像での露出が激しくなってきた 80年代の当時は、ブライアン・メイのギターさえもがミーハーに聴こえて いたのに、その後の、凡百のくだらない90年代の音楽に耳が痩せた(?) 人間にとってはその凄さを後追いで体験するような有様です。 ハード・ロックの名作ともいえる2nd以降は明らかに若い女性にも 受けるような音楽性になったことは否定できませんが、ボヘミアン・ ラプソディというそんな評論家的な視点すらも吹き飛ばす20世紀を 代表する名曲が奏でる響きはそんな理屈すべてをなぎたおし、ロック・ ミュージックというもののもつ魅力を痛感させてくれるものとなりました。 さて、今日ピックアップするのは、目立つ名作のすぐ後に発表されたこと もあって、微妙に目立たないのですが、じっくり聴けば聴くほどのその 凄さが伝わってくるのがこの華麗なる邦題『華麗なるレース』です。 特にB面の出来がすごく、大ヒットしたB-1は、「ラブ・オブ・マイ・ ライフ」にも勝るとも劣らない出来。いわゆるクイーン節の真骨頂の コーラスも絶品で、絶対にフツウの人にはコピーできない素晴らしい 名曲となりました。 B-2は置いといて(おい)、続くB-3の素晴らしさと言ったら!! まさしく日曜午後の洗濯、真夏の昼下がり、会社サボった日の夕暮れ、 と言った独特の雰囲気が絶品です。コーラスとピアノ、そして耳元近い フレディのヴォーカル、そしてキュウキュウなるギターの粘りの相性は どうですか。もうこれは究極の白昼夢です。日光浴させたばかりの布団の 匂いにくるまって、うとうとできたら、すべてを忘れられます。 続くB-4を飛ばして(飛ばすんかい)、ハイライトのB-5。 もうイントロでKOですね。なんだこの荘厳さは!?まさしく桃源郷の 金絲猴(?)。そしてサビの凄さに天を仰ぐのも束の間、究極の日本語 歌詞に、3月11日を境に感情移入が激しくならずにはいらません。 日本のファンへの感謝の意を評して日本語で歌われたらしいですが、 歌というもののもつ素晴らしい力。どんなに落ち込んだときでも勇気を 与えてくれるのはピンク・フェアリーズの3rdのA-1とこれにつきます。 歌詞やメロディだけでなく良い曲というのはいろんなことを考えさせて くれます。 地震や津波で自然の脅威はもとより、今回の事故でようやく原発って いかにヤバイものだったのか、そして、どうもこれは自分たちの手に 負えないものに相当依存していた事も知ることになりました。 更に、何故そんな危険なものを?と追及すると、結局、私腹を肥やす為の 政財、利権に利用してきた独占資本と政治家、それに乗せられ天下りを受け入れる大企業病の典型例の民間電力会社、そして、それを始末するために前線で 戦うのは下請けの下請けの下請けの・・・・・・。 曲の歌詞が意味するところこそ違うのかもしれませんが、人間の基本的な 生きるモチベーションを考え直さないといけない、そういうこと なのかなと。 純粋な名曲ってそういうことを直感的に考え直させてくれるので、 不思議です。間違えるのも人間ですが、反省できるのも人間。単純な 感動は単純なことを気づかせてくれます。 さすがに、いくらお気楽なサラリーマンの私でも、これは、もうそろそろ、 我々も声を上げなければいけない時期に来ているのではないかと 思うのです。『もう原発やめて他の方法を探すべきじゃないの?』って。 人を勇気づけるのも音楽の素晴らしいところだと思います。 『手を取り合って このまま行こう 愛する人よ 静かな宵に 光を灯し 愛しき教えを抱き』 (2011.03.30) |