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第290回 AKPITAZ "Same Title" |
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AKPITAZ - "Same Title" |
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RARE度:★★★★★★★ |
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Member : |
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Stavros Logaridis(b,g,vo), Aris Tasoulis(key), |
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Side (B) |
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ヨーロッパのヘヴィ・プログレッシヴ・ロックを探究している人なら 必ず出会う伝説の名盤です。『アクリタス』と発音するようです。 内容、ジャケットのかっこよさ、値段(?)の三拍子が揃った作品で、 きっと多くの人のウォント・リストに載りつづけたに違いないと思います。 妖精が宇宙をさまよっているかのような一目見たら欲しくなってしまう マニア心くすぐる一枚で、特にイタリアン・ロックの大立ち振る舞いに 身体中の血潮が燃えたぎってどうしようもない!というイタリアン患者の 方に強く薦めたい、その内容は、エギゾチック・ムードむんむんの 音楽や、神秘的すぎて壊れてしまいそうなフィメール・シンガーものとは 全く趣を異にし、いい意味で『ギリシャ』のイメージを覆してくれます。 A-1の出だしこそ一瞬フツウ(?)ですが、曲は延々長丁場。宇宙空間を 外へ外へと広がっていくエントロピーは、とてもスケールが大きく、 しかもドラマティックな展開で曲構成自体がもう複雑骨折です。 リズム・セクションは極端にテクニカルな上にヘヴィ。特にドラムスは ブルー・チアー(BLUE CHEER)の1stのような和太鼓系迫力。その上を タテノリピアノがのたうち回る様はELPともまた違う魅力的なものです。 更にB面は必殺で、中でもB-1は最高。バンコ(BANCO DEL MUTUO SOCCORSO)の初期とファビオ・チェッリ(FABIO CELI)が合体したかの ような(まじかよ)、ドラマティックなピアノが炸裂、ひとしきり 奏でた後に裏ドラムスも炸裂、こっちの鼻も炸裂、みたいな。 趙雲子龍の如き縦横無尽のピアノの刻みの上にリズム・セクションが 一斉にのっかってくる瞬間は悶絶必至、かっちょいいー!!!! 1度や2度聴いた程度ではこのアルバムの根底にあるものはなかなか 見つかりそうにない為、急いでサワリだけを聴く事は禁止したい位です。 じっくり聴く時間ができた時にこそ、ターンテーブルに乗せて下さい。 かつて経験したことないような劇的なヘヴィ・プログレッシヴの世界を 堪能できることと思います。 内ジャケのメンバーの写真は、まるでランチに行く丸の内のサラリーマン のような気軽さで、(とは言え、丸の内でこんな格好をしているサラリー マンは居ないのですが)パッと見では、これが『アクリタス』とは誰も 気が付かないだろうと思います。 ギリシャのヘヴィ・ロックというとちょっとキワモノ的感覚で面白半分に 聴いていると思われがちですが、イギリスだろうが、イタリアだろうが、 どこに出しても恥ずかしくない別格の一枚です。 (2008.11.30) |