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第264回 BANCO DEL MUTUO SOCCORSO "Darwin!" |
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO - "Darwin!" |
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RARE度:★★ |
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Member : |
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Vittorio Nocenzi(key), Gianni Nocenzi(key), |
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Side (B) |
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イタリアン・プログレの最高峰の名をほしいままにした、究極のデビュー アルバムに続く2ndアルバムです。 あれだけの内容の1stを発表した後に続く作品ながらも、1stの内容に勝る とも劣らない内容になっているという驚くべき作品で、インパクトとか衝撃とか(おなじか??)で勝負の1stに対し、こちらは熟練工のような 深みと卓越した構成力が半端ではなく、ELPの1stですら土下座してしまう のではないか、と思う位、ミラクルな作品です。 A-1の出だしで、キーボードがふわ〜っと始まった瞬間に、四畳半の和室から、一気にフィレンツェの石畳にタイムトリップ、いや、テレポーテーションか、とにかく、既に至福の域を予感をさせます。 そこに入ってくる、ジャコモ氏のヴォーカルが大変で、言わば、何日も遭難した挙句、ようやく救助されていた人が湯船につかった瞬間のような 極楽浄土な歌声なのです。(もちろん遭難した経験はありませんが。) 美しさがどんどん広がっていくさまは冬の青空、晴天の運動会。 更に、このA-1は後半に入ると、ヘヴィ・ロック・ファンにも手応え十分なアップテンポな波状攻撃からいきなりのピアノの調べへと展開し、 この辺の『いきなり』の転調にイタリアン・プログレの醍醐味を感じずにはいられません。筆舌に尽くせぬ優しい調べは、日陰に入ってすーっと 汗がひいていくような心地良さなのです。 『革命』というタイトルに相応しい、美しさと力強さを兼ね備えたアルバムの冒頭を飾るにふさわしいナンバーです。(邦題も『革命』です。) このA-1の次に気に入っている、B-3の邦題『75万年前の愛』は、イタリアン・ロックを代表するバラッドのひとつで、ジャコモ氏一世一代 の名曲と言っても過言ではありません。イタリアはルチアーノ・パヴァロッティだけではないのです! 全体の作りが非常に複雑で凝った展開を見せるこのアルバムは、万華鏡のように煌くキーボードに、闇を感じさせるベース・ラインとドラミング、 それにジャコモ氏の素晴らしいヴォーカルが加わって、まさに『音迷宮』、プログレとしては理想的な作品だと思います。 最高傑作は絶対1stだな、と思いつつも、プレーヤーに乗せてしまうと、こちらもいいので、こちらが最高でもいいや、という気になりますね。 『アルバム』として全体を通して楽しむべき作品の典型でもあり、何度でも聴けます。 そして、何年でも楽しめます。 (2007.09.20) |