第106回 EMERSON LAKE & PALMER "Same Title" |
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EMERSON LAKE & PALMER -
"Same" |
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RARE度:★ |
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Member : |
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Keith Emerson(key), Greg Lake(b,vo), Carl Palmer(ds) |
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Side (A) |
Side (B) |
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元NICEのKeith Emersonが、元ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerと元KING CRIMSONのGreg Lakeと結成したキーボードトリオ。なあんて、一言でいうにはあまりにも巨大過ぎるグループです。
我々のようなプログレファンが一般の人達に『プログレッシヴロックって何?』って聞かれた時に『わかりやすく言えばクリムゾン(ゾにアクセント)とかELPとかみたいなヤツ。』と引き合いに出させてもらう存在です。でもそういう名前を出しても通じない人がいたりすると、ちょっとどうしたら良いかわからなくなってきますよね。
さて、ELPといえば私は断然このファーストアルバムです。カラオケであったら是非歌いたい必殺のA-1が収録されている『恐怖の頭脳改革』も好きですが、あんまりごちゃごちゃ入っていない素材の素晴らしさを楽しむにはこのアルバムが一番だと思います。私の場合、ELPより先にATOMIC
ROOSTERを聴いていたので(どういうこっちゃ?)、『ふ〜ん。カールパーマーってこんなとこにおったのか。』と思うと同時に、このATOMIC
ROOSTER然としたジャケットになんとも言えない魅力を感じました。
一番初めにこのアルバムを聴いた時はピアノを多用していたせいもあってか『せっ、先生!こっこっ、これはクラシックなんでは?』なんてひるんだ記憶がありますが、今となってはそんな風に感じた自分がちょっと恥ずかしいくらいで、聴けば聴く程に自分の中でロック色が強くなっていきました。
このアルバムのA面出だしのキーボードの70年代然とした重量といったらちょっと半端じゃなくって、この重みこそが彼らがこの手のサウンドの中でも太祖だと言われる所以ではないかと思います。
その後に続くクラシカルなピアノプレイやB-2のキーボードプレイには圧倒されまくりです。モノの本によるとKeith Emersonのプレイというのは普通のテクニカルなキーボードプレイヤーとは全く次元が違うくらい超人的なものらしく、ロック界のみならずジャズ誌かなんかでも取り上げられたことがあるとか。彼の凄いところはキーボードプレイの達人ぶりも去る事ながら、ステージでの扇情的なパフォーマンスの素晴らしさにもあるのではないでしょうか。初めて彼らのライヴ映像をビデオで見た時は本当に衝撃的でした。NICEの名曲『Rondo』の間奏部分でオルガンの上に乗っかったEmersonはそのままサーフィンの波乗りのようにオルガンを揺らしながら前進を続け、しかもピアノにナイフを突き刺すという暴れっぷり。我が家で飲み会をやった時の後半にかけるBGV(バックグラウンドビデオ)はいつも決まってこれでした。
数年前、再結成をして来日した時は私もそのステージを観に行ったのですが、そこでも同様のパフォーマンスを披露してくれたのは感激でしたね。しかもオルガンを反対側から弾いたかと思うとそのままオルガンを自分の上に倒し、それでもそのまま演奏するという、まるで腕を切られても挟み続けるカニのはさみのようで、観客全員興奮のるつぼでした。
因みに私、三軒茶屋の『人見記念講堂』でライブを見たのですが、そこに行くまでずっと『瞳記念講堂』だと思っていました…。(どうでもいいのですが。)
このアルバムに影響を受けてプログレの道(なんじゃそりゃあ)へ進んだ人って多いんじゃないかと思います。実際にELPもどきのグループって星の数ほどいるようですが、B面ラストにLucky
Manみたいな曲をさらっと入れるところが絶対に他にはマネのできないところなんでしょう。それにしてもこのLucky Manという曲、ジーンと心に響いてきます。
冬山で遭難した人が発見された後温かいスープを飲んだ時のようです。ラッキーボーイとは意味が違うんでしょうけど…。