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第261回 JONESY "Keeping Up ..." |
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JONESY - "Keeping Up..." |
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RARE度:★★★★ |
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Member : |
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John Evan-Joes(g,vo), Jamie Kaleth(mellotron.key,vo), |
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Side (B) |
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メロトロン。 この楽器の持つ魅力がこんなにも末永く音楽ファンの心をとらえるとは 70年代の誰が予測したことでしょうか。 音楽というものを携帯電話でダウンロードができるという21世紀に あっても、『メロトロン入り!』という言葉についついつられて しまうのはプログレ・ファンならではのことでしょう。 鍵盤をたたくと、あらかじめカセットテープに録音された音が7秒間再生 されるという代物で、ライヴでもよく故障して大変だった、という エピソードもよく聞きます。しかしながら、このアナログ時代の産物とも 言える楽器の出す音は限りなく切なくて、限りなく幻想的です。 メロトロンを使った有名なアルバムと言えば、キング・クリムゾン (KING CRIMSON)の1stのタイトル・ナンバーや、グレイシャス (GRACIOUS)の1stアルバム、ツェッペリンのレイン・ソング (レモン・ソングではありません!?)と続きますが、今回ご紹介するジョーンジー も負けてはいません。最高傑作といわれているこの2ndアルバムは、 まず幻想的で前衛的なジャケットの美しさに心が惹きつけられますが、 サウンドはもっと切なく美しいのです! A-1冒頭のガラスの割れる衝撃音の美しさ、カッコよさに思わず鼻の粘膜が 割れそうになります。ギターがひとまわりするとお待ちかねの メロトロンの調べです。どんなリズムを刻んでも必ずやわらかくなる、 世界最高の優しい楽器だとここで再認識します。ギターがワウワウ だろうがなんだろうが、全てを包み込んでくれます。 これにストリングスもなめらかに入ってきて、プログレ・ファンは全員 ギブのはず。 そしてハイライトのA-2。 クリムゾンの『ポセイドンの目覚め(In The Wake Of Poseidon)』と 双璧をなす、メロトロン・バラッド屈指の名曲です。叙情的な歌メロの ブレイクの後に、ダムが決壊したかのようにあふれでる瞬間の高ぶりは 筆舌に尽くしがたいものがあります。まさしくメロトロンの洪水! 誰が言ったか『メロトロンの洪水』とは本当にうまく言ったもので、 まさしくこれは大洪水です。目をつぶってヘッドフォンで聴いていると どんどんヴォリュームが大きくなって濁流に飲み込まれる至福の瞬間を むかえることができます。 こういうのを聴いていると会社であった嫌なこと(ちっせぇー!)なんて 本当に全て忘れさらせてくれます。 全てのメロトロン患者にささげる幸福の調べです。 (2007.08.10) |