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第348回 DEVIANTS - "Same Title"
   1969 UK TRANSATLANTIC TRA204 (Psychedelic Rock)
RARE度:★★★★
Member :
Mick Farren(vo), Russel Hunter(ds), Paul Rudolph(g), Duncan 'Sandy' Sanderson(b)
Side (A)
1. Billy The Monster
2. Broken Biscuits
3. First Line(Seven The Row)
4. The People Suite
5. Rambling B(l)ack Transit Blues
 Side (B)
1. Death Of A Dream Machine
2. Playtime
3. Black George Does It With His Tongue
4. The Junior Narco Rangers
5. Let’s Drink To The People
6. Metamorphis Explosion

英国ロックの宝、ピンク・フェアリーズの前身バンド、デヴィアンツです。

ロンドンのノッティングヒルゲート(Notting Hillgate)周辺からは数多くのサイケ系音楽グループが輩出されていますが、その中でもボス的存在であったと言われているミック・ファーレン(Mick Farren) 率いるこのバンドは、まさしくノッティングヒルゲート・ミュージックそのものです。

彼らは1966年にソーシャル・デヴィアンツを結成、メンバー交代を繰り返しながら1969年、名作「Ptoof」でデビュー。ロック・ファンの間ではこの1stがベストという人が多く、もう爆発的サイケとでもいう べきブっ飛びの作品で、しかも変形ポスター・ジャケですからマニアが放っておくわけがありません。続く2nd「Disposable」がまたスタイリッシュでカッコいいサウンドを放ち痺れさせてくれます。

と、わかっていながら、今回は3作目にして最終作です。

前の2枚に比べると評価が分かれるアルバムで、所謂『不思議な魅力』が満載です。言い方を変えると恐らく中毒症状が一番キツいのかもしれず、好きになったら離れがたくなってしまうサウンドでもあります。これをお気に入りの一枚に数えている私も既に患者なのか…。

まずはA-1で、既に大きく意見が分かれるところでしょう。初めて聴いたときには「なんじゃ、こりゃ??」と思わず口をつく事間違いありません。既にここで最後まで聴く気力は萎え始めます。ユラユラ 揺れながらそれでいて身体の芯だけは保たれている、なんと表現したらよいか難しいところですが、中途半端なテンポが最高です。

そして、頼りなさげな ♪ビリー、ッザ、モンスタッっていうヘンテコリンなコーラスは、聴けば聴くほどに危険で中毒性を発揮。この曲のサビが「無理、我慢して」に聞こえるという空耳話もあり、 更に気持ちを盛り上げるのですが、聴いているこの時間が「終わって欲しくない」と、そんな気分になります。“ハマる"とはこういう時に使う言葉ですね。

この冒頭の曲に限らず、曲がどれも非常によくできていて、面白く、全曲一気に聴けます。B-3では曲名通りふざけた"口楽器"も登場して思わず吹き出してしまう一幕もあります。

ただ演奏がヘタウマで、特にドラムスはその典型です。なのに、アマチュアにならないところにも曲の持つ不思議なパワーがあるのかも。むしろ、更に雰囲気を盛り上げるこのヘタウマのドタバタ感が必要 だった、とも言えるでしょう。

そして一枚聴き終ったら自然に「もう一回聴こ!」となります。

一度聴いただけ持っていようか手放そうかを迷った時には、もう数回聴いてからお決めになることをお勧めします。そうするときっと手元に置いておきたくなるとは思いますが。

さらにジャケットが雰囲気満点です。この衣装に、このメイク、そしてこの毒々しいアイスクリームはどうでしょう!?敢えて見開きにしていない所には心憎さすら感じます。

残念ながらデヴィアンツは残念ながら本作で解散。ミック・ファーレンと袂を分かったメンバーは栄光のピンク・フェアリーズを結成します。そのピンク・フェアリーズの2ndも私はどうしようもなく好きな アルバムですが、それもこれもこの手のサウンドの患者なってしまったせいなのか…。

私のような一般サラリーマンには景気も雇用も社会情勢も全く『良い』とは思いにくい昨今ですが、こんな時は、デヴィアンツの患者になっているのが一番楽しいかもよ…と、皆さんを誘ってみたいと 思います。まだの方は是非一度お試しを!

商品詳細→ http://bit.ly/17E3f7u

(2013.11.30)