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第306回 PINK FAIRIES "What A Bunch Of Sweeties"

PINK FAIRIES - "What A Bunch Of Sweeties"
1971 UK-POLYDOR 2383 045 (Hard Rock)

RARE:★★

Member :

Paul Rudolph(g,vo), Duncan Sanderson(b,vo),
Russell Hunter(ds)


Side (A)
1. Right On, Flight On
2. Portobello Shuffle
3. Marilyn
4. The Pigs Of Uranus


Side (B)
1. a) Walk Don't Run
b) Middle Run
2. I Went Up, I Went Down
3. X-Ray
4. I Saw Her Standing There


これぞまさしく70年代英国アンダーグラウンドの底力!

ピンク・フェアリーズと言えば、奇人トゥインク(Twink)の在籍していた1stアルバムや、パンク・ロックの原点ともいえるハード・ロックの名作 3rdが有名ですが、ファンは絶対この2ndだと思います。

訳のわからない漫画やパロディ満載のジャケットに負けず劣らず、内容も相当ふざけたものですが、裏打ちされた音楽性が素晴らしく、八方破れ ながらも完成度が高いという不思議な作品でもあります。

出だしの「ぷるーりん、ぷるーりん」というふざけた電話のベル音と会話で 幕を開けるA-1でまずはその屈折ぶりを繰り広げます。ドラムスは ドコドコ、ドタバタな上に変なブレイクも入る摩訶不思議な魅力に満ち 溢れたナンバーで、尋常なテンションではありません。

この雰囲気と70年代の香りは、ちょっとやそっとではコピーもできない ものの一つで、アンバランスのバランス、不整合の整合、そんな彼らを 代表する名曲だと私は思います。

JBLの43なんとかかんとかとかいう大型スピーカーを持っている友人宅で この曲を大音響で聴かせてもらったのですが、70年代の英国パワーを 叩きつけられ圧倒され、『す、凄すぎる…』という以外に言葉が 見つかりませんでした。

B面ではベンチャーズとビートルズのカバー曲を演っているのですが、 圧巻はベンチャーズの方で、最初のギターの一音目のインパクトは、 味が濃すぎて食べられないつけ麺のスープをそのままゴクゴクと飲み 干すかのような極太濃口。

その後に続くアップテンポなところにも歪みのギターがかぶさって くるので、こちらもフツウではいられません。とにかく、めちゃめちゃ カッコイイのです。あの有名なギターソロのフレーズも、これを聴いて 初めて私はベンチャーズの曲が好きになりました・・・。

カバーを2曲含んでいるとは言え、アルバム全体を通して聴くと改めて 曲の良さにも驚きます。元日本ハム、元メジャーリーガーの新庄剛の プレイのように、単にふざけているだけではない、その「おふざけ」も 実力を伴っている、いわば、本物のロック・アルバムです。

ロック好きの仲間と集まったはいいが、クルマで来たのでやむなく 紅茶でもすすって土曜の昼下がりを過ごす事になったとしても、存分に 楽しめる内容の一枚です。

(2010.03.30)