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第335回 GNIDROLOG "Lady Lake"

GNIDROLOG - "Lady Lake"
1972 UK-RCA SF8322
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★

Member :

Stewart Goldring(g), Colin Goldring(g,vo),
Nigel Pegrum(ds,flute), John Earle(sax,flute,vo),
Peter Cowling(b), Charlotte Fendrich(key)


Side (A)
1. I Could Never Be A Soldier
2. Ship
3. A Dog With No Collar


Side (B)
1. Lady Lake
2. Same Dreams
3. Social Embarrassment


グニドロログではなく、ニドロログと読みます。ナイフと一緒です。 世に2枚のアルバムを残した、英国ヘヴィー・プログレグループで 今回ご紹介するのはその2作目になります。

あ〜あ、B級プログレか、と思われがちですが、違います!!

夜の湖でたたずむ白鳥に、バロムワンに出てくる『腕ゲルゲ』(古い…)が襲いかかってくるかの如くなイメージのジャケットがまずは印象的で、まずは何なんだ!?と思わされます。

そしてドキドキしながら針を落とすや否や、金属的で安定感抜群のリズム・セクションが始まり、そして全編にわたってフィーチャーされる フルート、攻め攻めの極太ブラス、頼りなげなヴォーカル、と、どれを とっても文句なしの内容です。

ジャケットの印象を振り切れずに針を落とすと、A1は想像以上の緊張感に、すっかり気持ちも持って行かれてしまいます。

ジャケットの白鳥の夜の湖の如く、静かで耽美的なメロディから、徐々に 徐々に曲は盛り上がりを迎え、ガチンコのリズム隊出撃で一気に月明かりに照らされたかと思うとまたしても曲は闇の中へ。そして ジェスロ・タルばりの唾吹きまくりフルートが暴れだし、頼りなげな ヴォーカルが声をふりしぼるサビの盛り上がりは最高で、ジュニアのライガーがヘヴィー級のリングにあがったかのような無理な挑戦な 感じがまたイイのです。

この曲のエンディングにはお待ちかねのギターが前面に出てくると、 怒濤のラッパ隊との連環場状態となって幕を閉じていきます。口を開けて聴いているうちに、素晴らしい時間はあっというまに過ぎ去り、 終わって初めて『長尺の曲だったかも』、と気づく程です。強いて難を 言えばフィナーレに、もう一捻り欲しいところでしょうか。

リラックスしたブラスで始まる続くA-2ですが、やや単調ながらも 飽きがこない絶妙のバランスは、船が大海原にゆったりと出航していく ようで、まさしくシップ!!(曲のタイトルですね。) アコースティック・ギターの入りもよく、サビの歌メロがカッコイイのは 語るまでもありません。

静かなA-3で少しクールダウンしたら、タイトルナンバーがB1で登場です。

A面の緊迫度の高い世界からは若干ゆるめのジャジーな雰囲気でブラスが 冒頭から全開なのでキャタピラっぽくもありクール。そこにアルバム中で、 最もキング・クリムゾンに近い作風を感じ始めた頃にやってくる ヴォーカルで雰囲気が一変し、さりげなく、今度は唾吹きではなく 風に吹かれ系になるフルートの調べと共に今度は気怠いイタリアン・ プログレ的な世界に飛躍していきます

このヴォーカルはこういう曲がよく合うというB-2は、華美に なりすぎない絶妙のバラッドを挟み、油断しているといきなり 重厚な入りのB-3では、『これぞUKプログレ』という陰鬱な重さを 披露してくれます。エンディングに向かって一気に突き進みます。 そのエンディングももうグッド・ジョブ!とてもカッコイイのです。

数多あるレコードの中には、『ジャケット負け』するものも少なく 無いものものの、このアルバムに関しては、ジャケットの印象が 見事に内容を表現した一枚だと思います。

アルバム一枚も一気に聴けるのは名盤の証し(?)。 プログレ・ファンには必携の一枚です。

(2012.10.03)