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第253回 KING CRIMSON  "In The Court Of The Crimson King"

KING CRIMSON - "In The Court Of The Crimson King"
1969 UK ISLAND ILPS9111
(Progressive Rock)

RARE:

Member :

Robert Fripp(g), Ian McDonald(key,vo), Greg Lake(b,vo),
Michael Giles(ds), Peter Sinfield(words and illumination)


Side (A)
1. 21st Century Schizoid Man including Mirrors

2. I Talk To The Wind
3. Epitaph including March For No Reason and Tomorrow And Tomorrow


Side (B)
1. Moonchild including The Dream and The Illusion
2. The Court Of The Crimson King including The Return Of The Fire Witch and The Dance Of The Puppets


クリムゾンキングの宮殿』と題されたこのアルバムは、『プログレという言葉はここから始まった』と言っても決して過言ではない、ロックの名盤の名をほしいままにしてきた金字塔です。

一度見たら忘れないインパクトの強さが印象的なジャケットは、まるで、このアルバムを聴いて衝撃を受けた人の顔のようで、国籍や年齢を問わず、ロック・ファンでなくてもこのアルバムを知っていれば、皆パブロフの犬よろしく、これを見ただけであのメロディーが聴こえてくるのでは ないでしょうか。

私はこのジャケを見ると、初めてこのアルバムを耳にした時に感じた、 『なんだ!このレコードは?!』という衝撃がいまだに古い銃傷のように新鮮に蘇ってきます。当時、私は中学生で、栄光の70年代が終わり、80sポップスが一世を風靡していた頃でしたが、そんな頃によくぞ友人は私にこんな音楽を録音して聴かせてくれたものです。

聴く度に、未だ全く色あせない衝撃に、音楽って凄いぞ、と単純な感動を覚えずにはいられません。

A-1は遂に日本のTVコマーシャルにまで進出してしまったせいで一気にキャッチーなフレーズになってしまい、その凄さが消化されないままに商業大国日本の象徴カラオケボックスにまで進出しているという、とんでもない事態を招いてしまっています。

そしてこの後に続く曲も当然の如くすごくて、私には飲んで帰った日にゃあ、いつも『エピタフ』という頃もありました。今でもたまにやりますが。結構酔い覚ましにいいですよ。
しかも後半一緒に声を裏返して歌っちゃったりなんかして。(最低です。)

しかし遠く離れた極東の日本人サラリーマンが居酒屋で飲んで帰ってきて酔い覚ましにこの曲を聴いて大声で歌っているなんて知ったら、ロバート・フリップ先生はどう思われることでしょうか・・・。

逆に中途半端に飲み足りなくてアドレナリンの放出がしきれずに身体の中にくすぶったまま帰ってきてしまったときには、月並みとは思いつつもやっぱりB面ラストに逃げてしまいます。メロトロンも入っていることですし(?)。

B-1『ムーンチャイルド』が終わってからB面ラストのタイトルナンバーまでの間には深淵で異常に難解な世界が広がるのですが、私にはその本当の凄さが未だに全く理解できていません。なので、いつもB-1の後は宮殿まで飛ばしてしまうのです。

自分が未熟だからだということはわかっているのですが、このアルバムに出会ってから25年くらいたった今でもなかなかこれを通して聴く境地には至っておらず、でも50年くらい我慢して聴き続けたら何か見えてくるのかもしれません。

でも思い切って言わせてもらうと、この部分はちょっとレコード溝の無駄かな・・。

(2007.05.20)