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第330回 OMEGA "5"

OMEGA - "5"
1973 HUNGARY-PEPITA SLPX17457
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★

Member :

Kobor Janos(), Benko Laszlo(key), Mihaly Tamas(b),
Molnar Gyorgy(g), Debreceni Ferenc(dr), Sulyi Peter


Side (A)
1. Hazug Lany
2. A Madar
3. En Elmegyek
4. A Jovendomondo
5. Jart Itt Egy Boldog Ember
6. Bucsuztato


Side (B)
1. Ebredes
2. A Malomban
3. Hazafele
4. A Hetedik Napon
5. Delutani Szerelem
6. Van Aki Nyugtalan


ハンガリーでは抜群の知名度・実力を誇り、東欧をも代表するプログレ グループの名作で、本作が最高傑作とも言われています。

東欧等の共産圏の音楽というとどうしても英国やドイツ等と比べると、 音が遅れていることは否めないのですが、逆に我々のようなマニアにして みれば、例えば80年頃であっても音が新しすぎないという見逃せない 一面もあります。

この作品は5枚目にあたるのですが73年のリリースで、完全に われわれ系の音(?)のど真ん中です。

60年代後半のサイケ・ビート系からプログレ系へ脱皮する瞬間映像の ような作風で、キーボードの音色等もいい程度に古く、コーラスも 不思議な感覚で、イタリアのバレット・ディ・ブロンゾの1stのような 金属質のサビ加減が心地よく、乾いたドラムスも実に良い感じで、煮え 切らないヴォーカルが、またたまりません。

そして非英語圏の魅力のひとつである、ハンガリー語の響きが、実に 魅惑的です。この一枚を聴いただけでもハンガリー語を学びたくなります。

A面は前述のようにバレット・ディ・ブロンゾのようですが、B面は 一念発起、大作のトータル・コンセプトで展開します。

いまだかつて聴いたことがないような、60年代音色でのプログレ大曲!!

それは、まるで『お箸で頂くフランス料理』みたいな感覚でしょうか。愉快です。アリだと思います。

いろいろな要素が雑多に入り混じったものですが、イタリアのデリリウムの1stのように、 聴いていて力がみなぎるような楽曲が素晴らしく、特に 出だしの歌メロが好きで、ここを聴くと否が応にも気分が高揚して しまうのは私だけでは無いハズです。

途中だらーっと間延び感が出る部分もありますが、そこもあえて計算済み かと思いたくなる程です。

後半はオーケストラで導入で、ストリングスも参戦して激しく盛り上がり ます。共産圏のハード・ロックにありがちな燃え上がり方です。 このB面を聴くとA面が単なる序曲に過ぎなかったのだと改めて知る事に なります。

ジャケも秀逸で、プログレ・サイケ・ビート・ハードの美味しいところを ふんだんに盛り込んだ逸品。ファンにはマスト・アイテムだと 思います。まだの人は急いで聴いてみて下さい。


(2012.4.30)