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第329回 THE STOOGES "Fun House"

THE STOOGES - "Fun House"
1970 US-ELEKTRA EKS74071
(Punk Rock)

RARE:★★

Member :

Iggy Pop(vo), Dave Alexander(b), Ron Asheton(g),
Scott Asheton(ds), Steven Mackay(sax)


Side (A)
1. Down On The Street
2. Loose
3. T.V.Eye
4. Dirt


Side (B)
1. 1970
2. Fun House
3. L.A.Blues


パンクの元祖、イギー・ポップ率いるストゥージズの2ndアルバムです。

まだアート・ロックなんて言葉で語られていた69年にデビューを果たした ストゥージズは、その派手なステージ・パフォーマンスもあって、 かなりの衝撃を持って語られていたそうです。デビュー・アルバムは まだサイケデリックな色合いもあり、いわゆる60年代ロック的要素を 多分に含んでいるのですが、この2ndアルバムにきて、本領を発揮した 感があります。

パンクといえば、ピストルズ、クラッシュ、ダムド・・となるので しょうが、彼らの登場を遡ること10年、こんな時代にこういう存在が あったことは改めて驚きです!

MC5もそういう意味ではパンクに括られそうなものですが、MC5が もっとロックよりで、政治的メッセージに乗せてロックをやっていたと いう印象なのに対し、ストゥージズは純粋にパンクだと思います。

単調なリズム、熱いエナジー、激しい歌詞、まさしくライヴ向きの サウンド!我々(?)70年代のクラシック・ロック・ファン、プログレ・ ファンからしてみるとこの演奏レベルはかなりギリギリのところでは あるものの、70年代後半のパンクで逆に免疫ができているので、私は かなり楽しめています。暴力的といっても、ザ・フーなどとは演奏の 次元が違うので単純比較するものでもないと思います。

代表曲B-1『1970』の迫力は、大音量の恩恵もあるとはいえ、かなりの 迫力で、いい曲だと思います。

また、イギー・ポップという人は、70年代ロック世代にとっての ゴールデン・エイジ、1947年の生まれですから、もう既に65歳を 数えようかというのに、あのメタボ知らずのボディーはどうですか!? 大体、この年齢で上半身裸を人前に晒すなんて事が出来るだけでなく、 未だにステージで大暴れできるパワーときたら、もう!!

というのも、3rdアルバムを全曲含んだライヴをファンが撮影したという 2010年のライヴ映像を収めた映画を、先日を観て参りまして、彼ら、 いや彼の魅力が満載で、もう気付いたら口を開けてスクリーンに釘付け でした。何度も言いますが、本当に60代とは思えない身体です。

パワフルでノリノリ、破壊的で、暴力臭たっぷりで、久しぶりにロック・ ミュージックの原点に立ち戻れたような、フレッシュ(?)な気分に なりました。まさしくこれが『Fun House』なんだよな、と。

ただ、3rdアルバムの邦題をそのままつかった『実演!淫力魔人 イギー& ザ・ストゥージズ』という映画のタイトルは、70年代的な映画のチラシ のロゴも手伝って、『RAW POWER』を知らない方には、三流ピンク映画を 連想させそうで、私としては大変不満です。もっとクールでカッコイイ のに台無しです。

もうひとつ、この映画は、『全てのセリフに翻訳を付けた』という所も見どころで、掛け声まで「ふぅう〜」とか「はっ」とかの字幕がでます。 ちょっとニコ動のようでもありますが、これにはかなりウケました。

流れは完全にディスクレビューではなく、フィルムレビューとなって しまいましたが、邦題に台無し感を覚えつつも、上質のパンク・ロックの 記録映画ですので、機会がありましたら、レコードはもちろんのこと、 このDVDも是非!


【ご参考までに…オマケです。】




(2012.3.30)