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第149回 MC5 "Kick Out The Jams"

MC5 - "Kick Out The Jams"
1969 US ELEKTRA 74042
(Hard Rock)

RARE:★★★

Member : 

Rob Tyner(vo), Wayne Kramer(g), Fred "sonic" Smith(g),
Michael Davis(b), Dennis Thompson(ds), John Sinclair(guidance), Brother J.C.Crawford(Religious Leader and Spiritual Adviser)


Side (A)
1. Ramblin' Rose
2. Kick Out The Jams
3. Come Together
4. Rocket Reducer No.62


Side (B)
1. Boderline
2. Motor City Is Burning
3. I Want You Right Now
4. Starship


当時のアメリカン・ハード・ロックの拠点といわれたデトロイトからの ライヴアルバムでデビューしたMC5。政治的な色彩さえも感じさせる メッセージ色の強いライヴアルバムで、アメリカン・ハードを語る上で外すことのできない一枚です。

アメリカのハードロックでしかもライヴ盤というと、整合感のない聴きにくいサウンドを想像しますが、このアルバムは別格。 昔、かの佐山聡ブルース・リーとかヒクソン・グレイシーのことを 『一流というのは動きが自然できれいなんです』とおっしゃってましたが、 そんな言葉を思い起こさせるようなライヴです。(?) 冒頭からのいきなり手拍子で『すわ、ここは武道館か!?』と思って しまいますが、手拍子に続いて挑発的な演説が始まると、あっという間に時代は69年にタイムトリップ。いやいや、しかしすごい熱気です。

私が高校生の頃、学校の英語の授業でキング牧師の演説をカセット・テープを聞かされたことがありましたが、その時に『おっ!?これは まるでMC5だな。』と思った記憶があります。時代的にも多分逆なんで しょうけどねえ・・・。 アジテーション的な演説というとヒトラーとかマルコムXが有名ですが、 この人の冒頭の演説はそれに近いものがあります。時折観客からも 『ザッツ・ライト!』とか言って合いの手が入るので、きっとそんな 内容なんでしょう。 アルバム裏面のクレジットには、ガイダンスとかリリジャス・リーダー とかスピリチュアル・アドヴァイザー(しかしなんなんだこれは?)とか いう記載もあるので、これはもともと単なるロックのライヴではなかった のかも知れませんね。

演説の後に続くのは、天まで轟くヘヴィギター、やたら手数の多い ドラミング、そしてなぜか裏声のヴォーカル。(なぜかA-1だけ裏声)ハードロックというだけではなく後のパンクロックの出現すら予見させるようなすさまじい展開です。

そして圧巻なのがA-2のタイトルナンバー。ロブの絶叫『キック・アウ ト・ォブ・ジャアアアム!ほにゃにゃシスター!』(なんだ、わからん のか..)で始まるイントロのかっこよさは尋常ではありません。もう聴いているこっちまで暴動寸前。

アメリカン・ハード・ロック史だけでなく、ブリティッシュ・ロックでも ここまで熱いライヴというのはそうそうお目にかかることはできないので はないかと思います。グランド・ファンクのライヴを超えているんでは ないでしょうか?

MC5はこの作品の後、2枚のスタジオ盤を出すのですが、それらには この1stの熱気はありません。 それにしてもこのジャケットがすごいですね。思わず部屋に飾りたく なってきます。内ジャケはもっとすごいですが・・・。



(おまけ) 衝撃の内ジャケ!?



(2004.04.30)