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第320回 SCORPIONS "Lonesome Crow"

SCORPIONS - "Lonesome Crow"
1972 GERMANY BRAIN 1001
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★

Member :

Michael Schenker(g), Klaus Meine(vo),
Rudolf Schenker(g), Wolfgang Dziony(ds),
Lothar Heimberg(b)


Side (A)
1. I'm Goin' Mad
2. It All Depends
3. Leave Me
4. In Search Of The Peace Of MInd


Side (B)
1. Inheritance
2. Action
3. Lonesome Crow


70年代後半から80年代にかけて、僕らのギター・ヒーローとして名前を 上げたうちの一人マイケル・シェンカーは、80年代には自身の名前を グループ名に掲げた『マイケル・シェンカー・グループ(以下MSG)』を 率いて何度か来日も果たし、日本のギター少年達を興奮のるつぼに 陥れました。

MSGは日本の中でもなぜか『名古屋』でいちばん人気があるらしく、 名古屋では必ず追加公演をしたそうで、外タレにしては後にも先にも 類をみない珍しい現象を引き起こしたグループでもあります。

そんなマイケルが世に出たことで有名なのがこのスコーピオンズの1st。

ここではグループの生みの親でもあり、この後もずっとスコーピオンズを 引っ張ってドイツでもっとも成功したロック・グループの一つへと育てて 行く、マイケルの兄ルドルフとの兄弟の競演も楽しむことができます。

ヴォーカルはご存知(じゃないですか)クラウス・マイネ。もう この頃から既に伸びやかで艶のある素晴らしい歌声を披露していますね。

この1stアルバムがリリースされた72年と言えば、ハード・ロック/ プログレ全盛期だけあって、このアルバムも陰鬱で実に70年代な音を していることから、ファンの間では常に賛否両論の大騒動の一枚です。

要するに決して『ヘヴィー・メタル』ではないのです。

2作目以降のスコーピオンズとはかなり音色が違う為、メタリックな サウンドが好きな方には物足りなさは否めず、逆に70年代の所謂、 クラッシクな『ロック』好きな方には思いっきり守備範囲です。

さすがにギターはマイケルなだけあって、よく鳴っていますが、リズムは 地味でちょっと暗く、それでも当時19歳にして、この凄み・渋みある サウンド出していたのかと思うと、マイケル・シェンカーの相当な 実力を感じます。

サウンドは全体にじめ〜っとしていてプログレ色が強い印象にも、 NWOBHM(っていう言葉まだ使えますか???)フリークが避けて通る 理由だと思います。

しかし、こういうじめじめした感じでメタリックでないサウンドと いうのは雨の日なんかにも十分イケますし、年をとっても (というか取ってからの方がより一層?)大丈夫で、一発目の インパクトは薄いものの、何度も聴くうちに妙に好きになってくる 作品です。

タイトルも暗いですが、ジャケも暗いですね。裏ジャケも続きに なっていて、内ジャケは更にその続きになっていて、もっと暗いです。 雨の夕方や、夜中に一人で聴くと、その暗黒サウンドにどっぷり浸れます。 特にラストのタイトル・ナンバーは独特で最高。蒸し暑くジメッとした この位の季節感にもピッタリです。

この後マイケルは脱退してUFOを結成、スコーピオンズは全く別の 路線に向かうので、結果的に、この感じのアルバムはこれ1枚きりで あったのは、ドイツという地理的、また時代的な背景からも、必然の ようでもあり、少し残念なようなでもあり、いずれにしても名盤に 数えるべき一枚ではないでしょうか。


(2011.07.30)