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第236回 MICHAEL SCHENKER GROUP "Same Title"

MICHAEL SCHENKER GROUP - "Same Title"
1980 UK CHRYSALIS CHR1302
(Hard Rock)

RARE:

Member :

Michael Schenker(g), Gary Barden(vo), Simon Phillips(ds),
Mo Foster(b), Don Airey(key)


Side (A)
1. Armed And Ready
2. Cry For The Nations
3. Victem Of Illusion
4. Bijou Pleasurette
5. Feels Like A Good Thing


Side (B)
1. Into The Arena
2. Looking Out From Nowhere
3. Tales Of Mystery
4. Lost Horizons


数あるハード・ロック・グループの中でもこれほど日本人、いや名古屋人 に愛されたグループというのは少ないのではないでしょうか。

私が愛知県の片田舎の高校生だった80年代半ばというのは、所謂80's真っ只中の時代であったにもかかわらず、一方でNWOBHMも全盛で、 アイアン・メイデンIRON MAIDEN)やジューダス・プリーストJUDAS PRIEST)に深く傾倒する人たちもクラスにはたくさんいました。

そんな中でも最も人気があったのがこのマイケル・シェンカー・グループ(以下MSG)で、当時の私は『寿がきや』のラーメンが全国規模だと 思っていたのと同じくらい、MSGも世界的に成功を収めているグループだと思いこんでいました。実際にはMSGは海外ではほとんど売れておらず、 名古屋を中心とした日本で爆発的に売れていたと知ったのは随分後です。

しかしこのアルバムは本当にクラスメート(なんか死語ですね)の間で当時かなり話題になっていました。邦題も今から思うととんでもなく 大きく出たもので、なんてたって「」ですからね・・。

これはMSGの1stアルバムなんですが、続く2ndアルバムの邦題は懲りずに「神話」で、よくも臆面もなくこんな邦題が付けられたもんだな と思いますが、当時は「神話のA-2がさあ・・」なんてフツウに会話してたもんです。

このマイケル・シェンカーという人はドイツのハノーバーの生まれで兄のルドルフ・シェンカーRudolf Schenker)のUFOというグループに 参加してから一躍その名が轟き、UFOを成功に導いたのは彼が参加したからこそとも言われています。

ところが彼はドイツ人であったがためにメンバーとの言葉の障害がきっかけで精神的、肉体的に疲れきってしまい、グループを脱退します。 そんな彼が再び音楽シーンに戻ってきたのがこのアルバム「」。今になって冷静に見てみるとベタなヘヴィメタアルバムですよね。 これ。ジャケットも大人になった今となっては、申し訳ないですが『二流』の印象で、決してロックの名盤の域には達しているとはいえません。

ただし!

A-1の出だしのリフなんかはロック少年を魅了するには十分なキャッチーさがあり、血気盛んな若者どもが口ずさむには十分なポップさ がありました。

そして彼らを象徴する歌メロのA-2。決して名曲とはとても言えませんが、マウンテンのかの名曲「ナンタケット・スレイライド」(Nantucket Sleighride)を思いっきり意識したかのような静かでメロディアスな出だしに多くのロック小僧が魅了されたものです。

この先何年も語り継がれるような作品でもなく、多くの人に広く薦められるような作品ではないと思うのではありますが、懐かしい人には 忘れられない作品であることは間違いないでしょう。

(2006.11.20)