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第297回 THE TRIP "Caronte"

THE TRIP - "Caronte"
1971 ITALY-RCA PSL10508
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★

Member :

William Gray(g,vo), Arvid "Wegg" Andersen(b,vo),
Pino Sinnone(ds), Joe Vescovi(key))


Side (A)
1. Caronte I
2. Two Brothers


Side (B)
1. Little Janie
2. L'ultima Ora e Ode A J. Hendrix
3. Ode A J. Hendrix
4. Caronte II


イタリアのオルガン・ハード・ロックを代表するグループです。 超絶&超速ドラマーのフリオ・キリコが参加していることで有名な グループではありますが、この2ndアルバムではまだ登場していません。

曲こそ英語で歌われてはいるものの、音は情熱のイタリアン・ロック そのもので、日本人好みしそうな内容です。

1stアルバムはドロドロのサイケ色が強い内容でオルガン・ロック・ファン にしか通用しないような感じでしたが、本2ndはしヘヴィー・ギターも 炸裂し、格段に内容も進化しています。キリコ加入以前ではあるものの、 ドライヴ感は全作品中最高とも言える水準で、プログレ・ファンという よりハード・ロック・ファン向きな作品です。

異常にドライヴィングしているA-1で幕をあけ、単なるプログレの 範疇では収まりきらないバラエティに富んだ奥の深い作品です。

特にB面がすごいんです!

B-1は60年代後半系のセピア色の曲でこれがこれでまたなんとも言えない 味を出していてさらにメロトロンも登場。この時代にしか聴けない サウンドのひとつです。

そしてB-2。ここからがジミヘンへ捧げる組曲になっていて、深淵でクラシ カルで、ドラマティックな展開を見せます。クォーターマスが組曲を やったらこうなるみたいなそんな感じで、風をきるベース、こもった ヴォーカル、ひたすらなドラミング!そしてブレイクの後のタテ型の オルガンはどうですか?!?!

ベガーズ・オペラの1stで涙を流した人にはマストだと思います。

そしてB-3。これはジミヘンそのもののギター曲で、ウッドストックの ラストを思わせるような、泣き泣き感動系です。しかもそれにオルガンが バックで絡んでくるからもう食事も喉を通らなくなります。ドラムスは 鎮魂歌のごとく大地を打ちつけ、荘厳なバック・コーラスは魂に響き 渡ります。

そして最後にはA-1のリフレインから激〆の展開が待っています。 〆のキムチチャーハンといったところでしょうか。

私には、内容とはちょっとイメージが違うように感じるのですが、黄泉の 国への渡し守カロンテをあしらったジャケのデザインもまたレア盤然と していてマニア心をくすぐるんですよね。

(2009.06.30)