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第61回 BEGGAR'S OPERA "Act One"


BEGGAR'S OPERA - "Act One"

1970 UK VERTIGO 6360 018
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★

Member : 

Martin Griffiths(vo), Alan Park(key), Raymond Wilson(ds),
Ricky Gardener(g), Marshall Erskine(b)

 

Side (A)
1. Poet And Peasant
2. Passacaglia
3. Memory

 

Side (B)
1. Raymond's Road
2. Light Cavalry

ブリティッシュプログレの叙情的な名作3rdアルバム「Pathfinger」が有名な彼らですが、この作品は彼らのデビューアルバムにあたります。
デビュー作の割にはかなり思いきった実験的なことを演っていてビックリさせられますが、もうこれこそ当時の渦巻きVERTIGOレーベルならではの作品ではないでしょうか。

ジャケットもなんともミスマッチ(何が何とミスマッチかというとうまく言えないのですが、でもミスマッチ)な感じな割には、KEEFがデザインするとなぜか芸術的な絵のように仕上がってしまうから不思議です。
写真の撮り方次第では「開け!ポンキッキ」のように成り下がる(スミマセン)ぎりぎりのところで前衛的なニュアンスを保っているのが流石ですね。

さて音の方はというと、このジャケットに映っている学芸会のような仮装大会のようないでたちの方々がグラウンドで繰り広げる運動会を彷彿とさせるものです。(イギリスでも運動会ってあるのかしら)
演奏の核をなしているパワー全開のハモンドオルガンとUFOの1st顔負けの豪腕ドラムスで延々と押しまくるといった内容なのですが、みんなどこかで必ず一度は耳にしたことがあるというクラシックの有名なフレーズが次から次へと顔を出すので、ドライブでかけるには最適の作品です。
この手のプログレが苦手な人でもきっと「あっ、この曲知ってる。」と久し振りに知ってる曲聴けたとばかりに喜んでくれること間違い無しです。

クラシックといっても運動会でかかっている曲が多いので、「さあ、白組は応援が足りませんよ!おとうさん、おかあさんはもっとしっかり応援して下さいね。」という運動会運営○×委員会の女の声が、響いてくるようなそんな昔を連想させる不思議な効果があります。
自分が運動会に出ていた当時は、そういう委員会の女とかのことを「子供のクセにこんな運動会をしきってすごいな。マジメだな。」なんて感心していましたが、参加した父兄にしてみりゃ、「えらそうにテントの下に座って、何がおとうさんも頑張って、だ。おまえに言われたないわ。」てな感じで、随分ムカついたんじゃないかなあと思います。

そんなことはどうでも良いんですが、こういうふうに出来合いのメロディを演奏している(というかカバーしている)アルバムって、どうもパロディのような気がして色眼鏡でみてしまいがちですが、演奏水準とノリのかっこよさで言えば、EL&Pの「Rondo」のライブくらいのレベルはあるので、もっと評価されて然るべきアルバムではないかと思います。

彼らの場合、3rdが非常に美しい作品になっている関係で、その手の本で紹介される時は恐らく「BEGGARS OPERAか・・・。スペースも少ないし、3rd一枚載せときゃ十分だわ。」てな感じで、結構このアルバムは軽視されがちのような気がしてなりません。
まあ、確かに3rdも素晴らしいけど、3rdが素晴らしいからってこの1stを軽んじていいかというと、それとこれとはまた別の問題のようにも思えます。