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第267回 LITTER "Emerge"

LITTER - "Emerge"
1969 US-PROBE CPLP4504
(Hard Rock)

RARE:★★

Member :

Mark Gallagher(vo), Jim Kane(b), Ray Melina(g),
Dan Rinaldi(g), Tommy Murray(ds)


Side (A)
1. Journeys
2. Feeling
3. Silly People
4. Blue Ice
5. For What It's Worth


Side (B)
1. Little Red Book
2. Breakfast At Gardenson's
3. Future Of The Past


USヘヴィー・ロックの隠れたる名バンド、リッターの3rdアルバムです。

1stはUSサイケデリックの激レアアイテムとしてマニア&市場を 騒がせていますが、この3rdアルバムはサイケデリックからは見事に脱皮。 ヘヴィー・ロックの名盤として恥ずかしくない水準に仕上がっています。

ジャケットがエレクトリック・レディランド聖なる館系のちょっと グロい人体絵となっていますが、内容はドロドロのサイケではなく、 正統派のヘヴィー・ロックですが、とは言っても全く爽やかな感じでは なく、どちらかというと暗黒面に位置するサウンドといえるでしょう。

A-1のイントロがなかなか印象的で、旧キングコングの映画で、生贄であるジェシカ・ラングをささげ、皆でコングを呼び続けているようなノリの リズムの刻みとドラムスのおかずが、暗黒への入り口を予感させます。 ドラムスはいかにも古臭い安っぽい音なのですが、それでもこういう 安い感じの楽器の音って決して悪くはありません。

恐らく、今時の高校生バンドの方がもっといい楽器を使っているのではないでしょうか。

そして続くA-2のイントロでも、ドラムスの走りが実にB級しています。

ギターとヴォーカルが一体感を持たずに、それぞれが伸びやかな表情を 見せるあたりもバッチリB級。そしてエンディングのドラムス連打は B級の極めつけ。こういうレコードを聴きながら、昼から酒でも浴びれば 最高の休日が約束されたも同然です。

ハイライトはA-4です。

縦ノリでミドル・テンポのドラムスの刻みで幕を開け、ヴォーカルも ライブ後半のようなノリノリ状態です。大工さんや左官屋さんの 『ヘイッ』っていう掛声とは全く一線を画す、合いの手『ヘイッ』が 最高です。

そしてサビでの「安部や〜」と聞こえる狂い咲きのような歌いあげの所に 至ってはこちらも叫ばずにはいられません。こういう音とノリは実に 独特だと思います。

しかしこの手のアルバムって当時もそんなに売れたとは思えず、だからと 言ってサー・ロード・バルチモア(SIR LORD BALTIMORE)のような 伝説にもなっておらずで、とても中途半端な存在ですが、血気盛んな ハード・ロック少年には絶対にお薦めしたいっすね。

かのフリジド・ピンク(FRIJID PINK)の1stで昇天した方には マスト・アイテムです。

(2007.10.20)