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第256回 DUNCAN BROWNE  "Give Me Take You"

DUNCAN BROWNE - "Give Me Take You"
1968 UK IMMEDIATE IMSP018
(Folk Rock)

RARE:★★★★★★★★★

Member :

Duncan Browne(vo,g)


Side (A)
1. Give Me Take You
2. Ninepence Worth Of Walking
3. Dwarf In A Tree
4. The Ghost Walks
5. Waking You (Part One)
6. Chloe In The Garden
7. Waking You (Part Two)


Side (B)
1. On The Bombsite
2. I Was, You Weren't
3. Gabilan
4. Alfred Bell
5. The Death Of Neil



オリジナルのイギリス盤は、ビリー・ニコルズBILLY NICHOLS)の 例のアルバムと並び称される英国イミディエイト・レーベルきっての レア・アイテムで、コレクター心をくすぐる素晴らしいアート・ワークの ジャケットもまた本作の魅力のひとつです。

メランコリィという言葉が本当にぴったりくるような作品で、英国の 湿り気をたっぷり含んでおり、スモール・フェイセス(SMALL FACES)「ショー・ミーザ・ウェイ(Show Me The Way)」級の曲が延々と続く とんでもない作品で、伝説のニック・ドレイク(NICK DRAKE)にわずかに ロックの要素をブレンドしたかのような微妙な美しさは、この手の ファンにとっては見逃すことのできない一枚でもあります。 特にA面の流れは普通のブリティッシュ・フォークでは経験できないよう なめくるめく哀愁の世界です。トラッド・フォークのような厳しさもない 割にはしかもそれでいてメロウにはならず、近寄りがたい荘厳を以って 進行していきます。

桃源郷の奥にたたずむ金絲猴のように、彼のささやき声と山麓の奥深く から響いてくるような気品あふれるコーラスが絶妙にマッチしそれがまた 独特の芳香になっているからたまりません。

明るさ、軽さは皆無で、マッチョなアメリカ人がフライドポテトを ほおばりながらスタンディング・バーでビールを飲むような世界や、 ステッペン・ウルフ(STEPPENWOLF)をハイウェイでキメるといった 世界とは対極をなすものです。間違っても大勢で聴くようなレコードでは ありません。

ですが、それでいながら、しみったれた四畳半フォークのような展開には ならない所は、やはりブリティッシュの歴史と伝統と言えるでしょう。

こんな孤高の作品を遺した後、彼は5年後にややメロウな2ndを発表、 その後、グラム・ロックのメトロ(METRO)での活躍後、93年に 46歳という若さで他界。ガンだったといわれています。

心の琴線に響く音というのはありそうでないものですが、このアルバムは きます。泣けます。ホントに。これを聴くにあたってはあまり凹んでいる 時はお薦めできません。否、凹んでいるからこそ聴くべきか・・・。

その地味さ、暗さに感動したならば、晴れてブリティッシュ・フォーク・ ファンに仲間入りをしたと思っていただければよろしいかと思います。

(2007.06.20)