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第29回
SMALL FACES
"Same Title"

SMALL FACES - "Same Title"
1967 UK IMMEDIATE IMSP 008 (Beat Rock)

RARE: ★★★

Member : Steve Marriott(g,vo), Ronnie Lane(b,vo), Ian Mclagan(key,vo),
Kenny Jones(ds)
)

Side (A)
1. (Tell Me) Have Ever Seen Me
2. Something I Want To Tell You
3. Feeling Lonely
4. Happy Boys Happy
5. Things Are Going To Get Better
6. My Way Of Giving
7. Green Circles
Side (B)
1. Become Like You
2. Get Yourself Together
3. All Our Yesterdays
4. Talk To You
5. Show Me The Way
6. Up The Wooden Hills To Bedfordshire
7. Eddie's Dreaming

このSMALL FACESとかTHE WHOが活躍していた60年代後半のロンドンというのはいったいどんな雰囲気だったんだろう?
今聴いても色褪せない70年代の音楽も勿論素晴らしいのですが、60年代もまた70年代とは違った独特な感覚があって大変魅力的な年代ではあります。
もしタイムマシーンがあれば60年代後半のロンドンのマーキークラブとかレコード屋とかには本当に行ってみたいもんだなあと思います。それで、そこのレコード屋で、陳列してあるレコードをタンタンッ、タンタンッと勢い良く見て行けたらどんなにか楽しいだろうと思います。

SMALL FACESといえば天才ロッカーSteve MarriottRonnie Laneを中心としたグループで、ブリティッシュビートの中では最も活きが良く、『All or Nothing』、『Sha-La-La-La-Lee』等のシングルヒットが中心だった前期Decca時代と、より高い音楽性を追求した後期Immediate時代とに二分されます。
このアルバムはImmediate移籍第一弾という事もあって、Decca時代のシングル指向と後期のアルバム指向が見事に調和していて、私はこれが一番好きです。
カッコ良い曲は『これぞ、モッズ』というくらいカッコ良く、時折入るSteve Marriott得意の合いの手(『ハッ!』とか『ウッ!』とか『カモン・チルドレンッ!』とかいうヤツ)もバッチリ決まっているし、哀愁漂う曲は60年代郷愁のお手本のような感じでPROCOL HARUMみたいです。何しろどれも曲が良いのです。

久しぶりに聴きましたが、A−1のSteve Marriottのカッコ良さはちょっとシャレにならないものがあります。
Humble Pieでは余り聴くことのできないアコースティックなギターの音色も曲に非常にマッチしています。
それにA−2のRonnie Laneの心に響く渋い歌。地味だけどとてもRonnie Laneらしい曲です。
でもこのアルバムの中での彼のベストチューンはB−5『Show Me The Way』(Peter Framptonの曲とは同名の異曲)です。この曲での歌声は本当に素晴らしいです。あの何とも鼻にかかったような独特の声と極上のメロディが醸し出す哀愁は、彼にとってもベストチューンと言っても良いくらいの内容です。

という感じなのですが、ちょっとこのアルバムに対しては、レコードにそんなにお金をつぎ込む事が許されないような貧乏な頃に、何の情報もない中、失敗したらどうしようというドキドキの気分で買ったレコードなので、その分個人的な思い入れが強く、どうも正当に評価することができないようです。
ただ今から振り返ってみると、これをよく聴いていたのはまだ私が20才前の80年代の中頃で、当時流行っていた音楽(Michael Jacksonとか)には目もくれず、全然入ってこない情報にもメゲる事なく、中古レコード屋に行っては彼等の再発盤を宝捜しのように探し出していた当時の自分を
『よくぞ、そんな若い頃からちゃんとSmall Facesを聴いていてくれたもんだ..』
と褒めてあげたいような気分です。
Small FacesThe Who無しの人生なんて考えられないです。(ちょっと大袈裟)

この後に彼等は円形の特殊ジャケットに包まれた最高傑作と言われる『Ogdens' Nut Gone Flake』を発表します。
Ogden』は当時流行のトータルコンセプトな作りになっており、かなりの話題を呼んだようです。
(当然こちらも必聴)
その後、Steve Marriottは栄光のHumble Pieへ、Ronnie LaneFacesへと袂を分かちます。
今となってはこの2人ともこの世の人ではないというのが本当に残念でなりません。