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第252回 FAIRPORT CONVENTION  "Liege and Leaf"

FAIRPORT CONVENTION - "Liege and Leaf"
1969 UK ISLAND ILPS9115
(Folk Rock)

RARE:★★★★

Member :

Sandy Denny(vo), Ashley Hutchings(b), Dave Mattacks(ds),
Simon Nicol(g), Dave Swarbrick(violin,viola),
Richard Thompson(g)


Side (A)
1. Come All Me
2. Reynardine
3. Matty Groves
4. Farewell, Farewell


Side (B)
1. The Deserter
2. Medley
- The Lark In The Morning
- Raskin Paddy
- Fox-Hunters
- Jig
- Toss The Feathers
3. Tam Lin
4. Crazy Man Michael


ブリティッシュ・フォークの歴史そのものとも言えるこのグループ (というかもうひとつの活動体ですね)から派生したり、影響を受けたり したミュージシャンは数え切れないほどで、まるで池袋の大勝軒のような 存在です。

今回ご紹介する作品は、そんなフェアポート・コンベンションの最高傑作 とも言わる、サンディ・デニーが参加している絶頂期の作もの。

突出した名曲が何曲も収録されている前作アンハーフブリッキング (Unhalfbricking)よりも全体力が増した作品で、前作のしっとり感に 対し、こちらはそのしっとり感さえも吹っ切ってしまったかのような 極太の圧倒感で、フィメール・フォークのくせにドライで天空を突き 抜けるかのような爽快感は有無を言わせない説得力を持っています。 『バンドとして進化した』という言い方がぴったりくる隙のない 仕上がりです。

特にA面の力強さは特に凄く、いかにも最高傑作という雰囲気が漂って いて、本当にこれぞ横綱相撲です。

サンディ・デニーにしか出せない味のA-2のミステリアスなムードは、 次曲への架け橋といってもいい内容で、いやが上にも高揚する気分を 抑え切れません。そして、バトンを受け取ったA-3のマティ・グローヴで ひとしきり盛り上がった後、続くA面ラストに、筆舌に尽くしがたい 美しさがやってくるのであります!!

このように、A面の曲順は本当に理想的だと思います。

起伏に富んだそれぞれがきっちりと役目を果たしており、全員がホーム ラン・バッターというのは実は理想の打順ではないのだという事を改めて 痛感させてくれる、そんな曲順なのです。

ハイライトのひとつである『マティ・グローヴ(Matty Groves)』(A-3)の 良さは今更言うまでもないのですが、前後の曲も全く見劣りしていない 素晴らしいバランスです。

名曲を数多くもつサンディ・デニーですが、特に有名な前作収録の『時の流れを誰が知る』があまりにも名曲然としているのに対し、このA-4 は 力強い中に可憐なかわいらしさを感じさせてくれ、彼女の歌声の魅力が より伝わってくるというところで、個人的にはこちらに愛着を感じます。

とB面に行く前に今回は終了してしまいそうですが、このアルバムの ラストを飾る哀愁たっぷりのB-4はフィメール・フォークの古典の域に 到達しているものであるというところには触れておきたいと思います。

ロック・ファン、フォーク・ファン、全てを満足させる密度の濃い名作で、 どんなところに出しても恥ずかしくない優等生的な一枚でもあります。

(2007.05.10)