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第60回 COLOSSEUM "Daughter Of Time"


COLOSSEUM - "Daughter Of Time"
1970 UK VERTIGO 6360 017
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★

Member : 

Chris Farlowe(vo), Dave Clempson(g,vo), Mark Clarke(b),
John Hiseman(ds), Dave Greenslade(key), Dick Heckstall-Smith(sax),
Louis Cennamo(b), Barbara Thompson(sax,flute,vo)

 

Side (A)
1. Three Score And Ten, Amen
2. Time Lament
3. Take Me Back To Doomsday
4. The Daughter Of Time


 

Side (B)
1. Theme For An Imaginary Western
2. Bring Out Your Dead
3. Downhill And Shadows
4. The Time Machine


ブリティッシュロック界でも3本の指に入ると言われる名ドラマーJohn Hisemanが結成したこのCOLOSSEUM、当時はスーパーグループとしてかなりの注目を集めたようです。
69年に発表された2nd「ヴァレンタイン組曲(Valentyne Suite)」は、ジャズを基調としながらも壮大なトータルコンセプトな内容の傑作となっていますが、この3rdアルバムでは更にメンバーが加わり、超スーパーグループとでもいうようなメンバーです。
これだけのメンツが一堂に会しているスーパーグループというのは他にも類がなく、恐らくブリティッシュロック最強のメンバーといっても良いでしょう。
ドラムスのJohn Hisemanを中心に、まるで劉備玄徳のまわりを伏龍、鳳雛、関羽、張飛、趙雲等が固めていた時期のような豪華絢爛この上ない布陣です。

内容はというと、まあこれだけのメンバーが揃っているだけあって、そりゃあんた悪かろう筈もないがねという感じで、傑作の前作をも凌ぐ迫力満点の一大スペクタクルとなっています。

このグループはブリティッシュロックの中でも、ジャズロックとして紹介されることが多く、私も初めて彼らのことを知った時は、どんな音楽かピンと来ず、「ジャズロックか..。ジャズロックと言えば飲みに行った時に2軒目とかに行く暗い店で、ふわふわのソファに座ってピーナッツ食いながら聴くアレのことか」と思いこんでいました。(それは『ジャズロック』じゃなくて、『ジャズ』でした!)

そんな軽い気持ち(?)で行きつけの中古レコード店に行って、「すんませ〜ん。COLOSSEUMってイイんですか?」と聞いたんですが、実はその店の常連のお客さんの中にこのグループのことを半端じゃなく気に入っている人がいたから大変です。
店の奥に座っていたその方がやおら立ち上がり、「何っ!?貴様、COLOSSEUMも知らんのか?」と、まるで公害の被害者代表が加害者側の責任者を怒鳴りつけるような状況の中で、かけてもらったのがこのレコードなのです。(どんな店だ)

音を聴いてみると、「んな、また大袈裟な..」と思っていた自分が恥ずかしくなるくらい素晴らしい内容で、特にA面出だしのコーラスは、ワールドカップの試合開始前の国歌吹奏のようで、興奮のあまり鳥肌総立ち状態になりますが、Chirs Farloweのあのソウルフルで絞り出すようなヴォーカルが入ってくるとだんだんと曲が厚みを増してゆきます。
曲の厚みという意味ではHisemanのドラムスによるところが大きく、最強のおかずを堪能することができます。
特にA面全体の組曲の流れは曲の出来も素晴らしく、各メンバーの演奏も本当に見事としか言いようがありません。

B面もA面同様の素晴らしい出来となっていますが、ラストの曲はドラムソロとなっており(しかもなぜかライブ)、これがあの映画「ベンハー」の戦車レースのシーンのように、砂ぼこりがもうもうと立ち上ってくるが如くの迫力に満ちています。
元気な時に聴くと、調子に乗ってどんどんヴォリュームをあげてしまいますが、しまいには聴き疲れてやっぱりヴォリュームを下げてしまう、そんな迫力満点の作品です。