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第231回 GAY & TERRY WOODS "Backwoods"

GAY & TERRY WOODS - "Backwoods"
1975 UK POLYDOR 2383 322
(Folk Rock)

RARE:★★★★★

Member :

Gay Woods(vo,dulcimer,auto harp),
Terry Woods(g,concertina,mandola,mandolin,vo),
Mike Giles(ds), Dave Wintour(b), Geoff Whitehorn(g),
Peter Arnesen(key),Ed Dean(g), Joe O'Donnel(violin),
Tony Carr(congas)


Side (A)
1. I Missed You
2. The Hymn
3. Dublin Town
4. The Fair
5. Side Tracked


Side (B)
1. Thinking Of You
2. Second Hand Sale
3. Sorry Friend
4. Winter Poem
5. Dunlavin Green


ゲイテリことゲイ&テリー・ウッズの1stアルバムです。

彼らはかのスティーライ・スパンSTEELEYE SPAN伝説の1stに参加した後、これまた伝説のフォーク・グループ、ウッズ・バンドWOODS BAND)を経て、夫婦としての最終到達地点、ゲイ&テリー・ ウッズを結成。ちなみにゲイ・ウッズが奥さんです。

ゲイテリなんていうと六本木のそれ系の飲み屋かと構えてしまいがちですが、実にまっすぐなフォーク・ロックで、正統派ブリティッシュ・フォークとはこういう音楽のことを言うのではないでしょうか。

A-1がずいぶんリラックスで軽い感じのカレッジ・フォークのような雰囲気で始まるので、なんだか軽いな、なんて印象を持ってしまいますが、A-2から一気にきます。特にA-2の哀愁は鳥肌ものです。

奥さん(って・・台無しだな・・)のフィメール・ヴォイスに導かれて現れる、それはまるで奥さんに怒られたばかりのような、かぼそい元気のない旦那さん(だから・・)の声が逆にとても魅力的で素晴らしいのです。

絶対にハード・ロック・グループなんかにはいないタイプの旦那さんの声は、何ともいえず頼りなげで、奥さんに「見ていてあげるからしっかり歌いなさい!」とでも言われているような歌いっぷりです。と言うと、ジャガー横田夫妻のようですが、この旦那さんは、ひげ面でジンジャー・ベイカーGINGER BAKER)のようないかめつい顔つきをしているので、 むしろ北斗と健介でしょうか。

A-2に話を戻すと、バックをさりげなく流れるピアノがもうイタリアのマクスフォーネMAXPHONE)のジャケットのようにリリカル!ようやくいっしょに歌ってくれた奥さんの声を聞いて安心しているかのように歌う夫婦のコーラスは堂に入ったもので、アコギに替わって 登場するエレキの泣き泣きも正統派。そしてこの手にしては珍しくドラムスも入っているので、ハード・ロック・ファンにも通用します。(少々強引ですが。)

このA-2以降は哀愁のオンパレードで、どんどんよくなってきます。

B面に移るとやっぱり奥さんのヴォーカルの美しさに唸らざるを得ません。特にB-1でのみずみずしくもゆれる歌声は絶品。

結果的に見ると結局A-1が一番悲しそうな曲名の割には一番シリアスではない内容なので、A-2以降がこのアルバムの本体と言えるでしょう。

ジャケも抜群です。でもジャケが似ていますから間違えてトゥインクTWINK)のアルバムを買わないようにご注意下さいね。


(2006.9.30)