第365回 HATE - "Hate kills" | |
1970 UK-FAMOUS SFMA5752
(Folk Psychedelic)
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RARE度:★★★★ | |
Member : Rab Munro(vo), Neil Bruce(key,vo), Jim Lacey(g), Lenny Graham(b,vo), Allan Pratt(ds) |
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Side (A) 1. Come Along 2. Corridors 3. My Life 4. Seems Like Any Fool 5. Time For Change |
Side (B) 1. It's Alright To Run 2. She Needs Me 3. Never Love Again 4. Realisation 5. I'm Moving Down |
HATEとはなかなか思い切ったネーミングです。 このグループが好きな人は、「I Like Hate.」とか言っていたのでしょうか。 そんな事はおいておいて。 もう何年もブリティッシュ・ハード・ロックを聴いていて、しかも年代やジャンルも絞って聴いているのに、まだ新たに出会うものがあり、ブリティッシュ・ハード・ロックの奥の深さに驚かされることは、少なくないのですが、このアルバムもそんな一枚です、1970年に出ていたこの隠れた名作です。 なんとなくやりそうで、はずしそうな、小橋健太の決め技前のような握りこぶしジャケットは微妙ですが、音は正統派のブリティッシュ・ハード・ロックです。 A-1ののっけからの控え目はオルガンとドライで男気あるヴォーカルが出てきて、「ジャケット写真は、あなたでしたか?」 と思わずツッコミたくなります。 続くコーラスがまた力強い。海の男というより山の男のコーラスです、これは。 そしてサビのコーラスのバックで鳴る、しわがれたギターに至っては、恐らく20代では絶対楽しめない、大人のロックだと思います。 そしてよくよく聴いていて、このヴォーカルは??そうです。スプゥーキー・トゥースのヴォーカルそっくりのあの力学です。 後半のサビのリフレインではブラスも入り華やかになってくるものの、アメリカのようなピザを顔にぶつけるようなチープなパーティーっぽくならないのが、こういうのは本当にできそうでできない、正しく名店のさりげないチャーハンです。 もうA-1だけで、ここまで楽しんでしまえるわけですが、 続くA-2はアップテンポながらも全体の楽器のバランスもよく、そして男の握りこぶしコーラスがまたもや活躍。ちょっとヒープ風味でしょうか。さびたギターが絶妙な均衡を保ちます。20mくらい向こうで演奏しているようなオルガンも奥ゆかしくていいですね。 そして曲によってはアコースティックも入っているから侮れません。 初期のハンブル・パイ(HUMBLE PIE)のような雰囲気も漂います。 B-2なんかは割とプログレ的でファジー・ダック(FUZZY DUCK)みたいな展開をしたりもします。アメリカのスワンプの埃は多少はかかり気味ですが、軽く振り払って・・という感じでずっと英国臭です。 いずれにしてもこのグループの特徴は骨太のヴォーカルでしょうか。株主総会で質問しても、マイク係が到着する前に質問始めてしまう、みたいなくらい地声が大きいのです。 そして、全体的にはどれも捨て曲がなく、非常にバランス、まとまり、適度な体重のオトナな名盤です。 まだな人、多いと思います。ナショナル・ヘッド・バンド(NATIONAL HEAD BAND)のファン(いるんかいな)の方には強く推薦します!? 唯一、難点を申し上げれば、全体的にミドルテンポで渋めにくるサウンドには、バンド名とアルバム・タイトルほどの尖ったインパクトがなく、バンド名、タイトル、ジャケからの印象とは異なるかな、、、というところで当時のヤング(?)は、針を落として「違うじゃん」と思ってしまったのかもしれません。 故に、紹介される機会も少なくここまできたのではなかろうか...というのは勝手な推測ですが。 色々聴いてきたからこそ、耳にしてほくそ笑むことができる一枚かもしれません。 人生に無駄なし!レコードに無駄なし!経験を踏まえて大人の音楽を楽しめる喜びもまた70年代を聴く醍醐味です。 (2015.08.13) |