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第331回 DORDE ILIJIN "Zabranjeno Prisluskivanje!" |
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DORDE ILIJIN - "Zabranjeno Prisluskivanje!" |
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RARE度:★★★ |
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Member : |
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Dorde Ilijin(key,flute,g) |
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Side (B) |
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旧ユーゴスラビアを代表するプログレ・バンドといえばTAKOの名前が 思い浮かびますが、このジョルジェ・イリジン(DORDE ILIJIN)は、 そのTAKOのキーボード奏者です。 TAKOの2ndから3年を経て発表された作品ですが、TAKOよりも洗練された美しさに満ちたソロ作は、更に時代を下った83年に発表されています。 東欧というと、内容はよくとも録音状態やプレスがいまいちだったり、 80年代だと微妙に音が新しすぎてピコピコ系だったり、はたまた、 ヘヴィメタ系に走ったりするので、取捨選択には慎重になるのですが、 本作品はそんな中でも『当たり』アルバムです。 キーボードと言えば、例えば『ダンカン・マッケイ(Duncan Mackay)』の 波状攻撃のような『音の壁』の感じではなく、全体的に奥ゆかしい サウンド゙で、特にところどころにTAKOばりの哀愁フルートが良い味を 出してくるところが、かなり出来の良いシンフォニック・ロックに 仕上がっている印象です。録音もよく、メロディも珠玉です。 A-1は静かなピアノの調べで幕をあけ、コーラスで広がり、哀愁フルートが 乗っかってくるところはさすで、まさしく幽玄という言葉がぴったりの 内容です。タイプはやや異なるかもしれませんが、ウェールズの フォークなどにも通ずる美しさがあると思います。プログレとはいえ、 フィメールにこだわらなければ、ウェールズ系の方でもイケるのでは ないでしょうか。 A-2では重厚な雰囲気な深みのある展開を見せますが、同様にフルートの 挿入が効果的で、エフェクトかかったヴォーカルが英国ではない ヨーロッパです。 以降は、段々と映画『アバター』のビジュアルを思い出しそうな、 未来感を醸し出す広がりを見せます。少しヒーリング・ミュージックより に行きそうな部分では思わず『眠っ・・(おっと!)』となりそうに なりつつも、そこはプログレ。シーンはどんどん展開します。 極端に言えば、マイク・オールドフィールドがピンクフロイドを やったらこんな感じかな、といった印象はありますが、旧ユーゴス ラビアという地理的、そして83年という時代的な背景が生みだした、 とてもユニークなサウウンドだと思います。 控えめな色調なのにシュールなデザインのジャケも秀逸です。 合わせてTAKOもお聴きになることをお勧めいたします! (2012.5.30) |