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第301回 ZARUTHUSTRA "Same" |
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ZARATHUSTRA - "Same" |
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RARE度:★★★★★★★ |
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Member : |
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Ernst Herzner(vo), Wolfgang Reimer(g,vo,ds), |
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Side (B) |
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ジャーマン・ヘヴィ・プログレッシヴの隠れた傑作です。 「ツァラトゥストラ」というと、哲学者ニーチェの代表作で、ロック・ ファンにはイタリアのムゼオ・ルーセンバッハ(MUSEO ROSENBACH)の 同タイトルの名作が有名かと思います。 が、ここで紹介するグループは、アルバムタイトルだけでなく、大胆にも グループ名もそのまま『ツァラトゥストラ』を名乗り、更に本作1枚で 消えてしまった事で『幻のグループ』とまで言われています。 『ジャーマン・ヘヴィ・プログレ』と聞くと陰鬱でドロドロ、混沌とした 世界を思い浮かべる方が多いと思いますが、このグループはいい意味でも 悪い意味でも、そんなイメージを覆してブリティッシュ寄りの音に、 歌詞も英語で、他のドイツのグループに較べるとインターナショナルな 指向を感じさせます。 ジャケットもその名に相応しく、とても格調高い雰囲気を醸し出して いるのですが、でも!そんなジャケのデザインに対して、音の方はもっと ベタで、実はちょっとジャケットと内容がマッチしていないかな、と いうのが率直な感想です。 そしてその『ベタ』なサウンドはと言えば、非常に錆びた音色のオルガン、 ディストーションかかったギターと、ヘヴィーなコーラスが全編に亘って 活躍! …と書いてしまうと、それは、要するに70年初期の主流を占めた ギターとオルガンによるハード・ロック・サウンドで、ありがちと言えば ありがちなとも言えて、所謂初期ユーライア・ヒープ系の音作りに、 しかもレベル的には超B級ですので、これ一枚で消えたのも、『幻』と なってしまったのも致し方なしなのかもしれません。 それでも随所にとんでもなく光輝く曲があり、特にA-1、A-2は素晴らしい です。A-1は本当にヒープっぽいですが、休日のランチにお酒を飲んで ちょっと回ってしまった食後に聴けば心地よい気だるさ倍増で、幸せな 時間をすごせます。ヴォーカルもゆるやかで良いです。 A-2はズバリ名曲。 曲構成が異常にカッコよく、ギターのバッキングの入り方もあまり他に 類を見ないもので、随所に聴かれるブレイクも完璧なタイミング。そして ヴォーカルはここでは勇気百倍。後半のサビでのヴォーカルとギターの 不思議なユニゾンはついつい歌ってしまうくらいカッコよく、B級ファンに とってはこれ以上ない宝物でしょう。 B級ロックにはB級ロックの味わいがあり、いかにもブリティッシュ然と しながらも、B級的良さがしっかりと味わえる作品であることは間違い ありません。 (2009.11.10) |