BACK TO HOME | ||
第292回 HAIZEA "Hontz Gaua" |
||
HAIZEA - "Hontz Gaua" |
||
RARE度:★★★★★★★★ |
||
Member : |
||
Xavier Lasa(g,horn), C.Busto(ds,xylophone,conga), |
||
|
Side (B) |
|
アイセアは、70年代後半に2枚の作品を残している、スペインはバスク 地方を代表するグループです。 IOIOTSレーベルからの1stアルバムは、ジャケット通りの牧歌的で 優しい温かさに包まれた作品で、風(アイセア)と言っても高原の そよ風のようで、フィメール白昼夢患者には宝物のようなアルバムでした。 1stでやわらかい響きを聞かせてくれたギタリストのTxomin Artolaが この2ndアルバムには参加せず、その影響もあってか、こちらは闇夜を 思わせる作品です。 出だしのA-1でこそ、1stのようなリラックスしたムードが一瞬漂い、 『な〜んだ、そんなに怖くないじゃん』と油断してしまうのですが、 リラックスできるのはこの一曲だけだった、と気付いた時には既に 闇夜の入口です。 それにしても、人間の歌声の可能性には驚かされますね。 英国のフィメール・フォークをさんざん聴いてきた貴方(私?)、 サンディー・デニー(Sandy Denny)を越えるシンガーはいないと 断言される貴方(私?)、シャーリー・コリンズ(Shirley Colins)が 一番深いと思われている貴方(私?)、そんな考えを改める時かも しれません。 このどうってことのないA-1でさえ、ちょっと息を飲むほどで、単に フォーク・ソングと言ってしまえばそれまでですが、大ヴォリュームで 鳴らしてみると、足先から頭のてっぺんまで電流が走るかの如くで、 『キレイ』だとか『澄んだ歌声』だとかよりも、『神々しささえ漂う』、 と言えば大袈裟かもしれませんが、『気高さ』で圧倒してくる感じです。 作品のつくり自体が1stにくらべてプログレッシヴでシリアスになって いる事もあるのでしょうけれども、それ以上に、歌声そのものの シリアスさがより研ぎ澄まされました。ただ、歌モノの範疇を越えて しまっている分、ヴォーカルの出番が少ないのが残念でなりません。 1曲構成のB面のタイトル・ナンバーではアマイアは歌ではなく楽器の ひとつになってしまった、とも言われており、何度も言うようですが、 今までに経験したことのない、そして忘れ得ない一枚になるはずです。 『癒し』を通り越したこの名作、仕事にイヤ気が差した時に、何度も 何度も聞いてしまうと、更に深みにはまり込み、もう娑婆には戻って 来られなくなりそうです・・・。 (2009.01.30) |