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第291回 THE WHO "A Quick One" |
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THE WHO - "A Quick One" |
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RARE度:★★ |
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Member : |
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Pete Townshend(g,vo), Keith Moon(ds,vo), |
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Side (B) |
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初の単独来日公演やフィルム・コンサート(映画か?)等で最近になって今更ながらに盛り上がりを見せるザ・フー。 ブリティッシュR&B永遠の名作のデビュー・アルバムは、カバー曲が 中心でしたが、このアルバムあたりから彼らのオリジナリティが前面に 出てきており、メンバーそれぞれの個性も浮き出てきているという 意味で、初期フーの本質はこのアルバムにあり、です。 A-1での音の塊がぶつかってくる様はまさにスウィンギング・ロンドンそのもので、オリジナルのモノラル盤での衝撃は筆舌に尽くしがたいもの があります。特に間奏部のフィード・バックからの展開はすべてのロック・ファンの鳥肌をたてるに十分なカッコよさです。 そしてジョン・エントウィッスルのA-2。 その昔、編集再発盤でこれを聴いていた頃は『つまんねえ曲だな・・』と 思っていましたが、オリジナルで聴くと思わず『ゴメンナサイ!』です。 このうなりをあげるベース・ラインはどうですか!?メタリカや スレイヤーもいいけど、真の『ハード・ロック』とはこういうのを 言うんですよね。 モータウンの曲のカバーのA-5は、個人的にはもっと黒っぽい雰囲気の別テイクの方が好みです。どうやらマーキー・クラブでの映像が存在しているようなので、いつの日かフル・バージョンで観れることを願って止みません。 A面の最後にブッ飛ばせてもらえるのが、言わずもがなのキース・ムーンの名曲、A-6です。もしも3つの願い事を叶えてもらえるなら、『この曲の 演奏シーンを観させて下さい』と言ってしまうかも。 B面も佳曲のオンパレードで、青春時代の甘酸っぱさが漂う、秀逸なB-3。イントロの爆発ドラムスから60'sコーラス、そして極上のサビ!! こんな曲、どうやったら作れるのでしょうか。キースのプレイも凄く、シンバルも鳴りっぱなしで、吸い込まれるようなエンディングまで 完璧です。 そしてやはりB-4がハイライトでしょう! 映画『キッズ・アー・オールライト』では残念ながら前半のカッコイイ部分がカットされているのですが、ストーンズの『ロックンロール・ サーカス』では、『フーの演奏が凄すぎてストーンズが目立たないので 発売しないでくれ』とミック・ジャガーに言わしめた、あのナンバーです。 (『ロックンロール・サーカス』は96年に発売になっています。) 『ミニ・ロック・オペラ』とも言われていますが、とにかく良くできた曲で、しかもトミーのような緻密に練られたものというよりも、いきあたり ばったりで組み立てたらできてしまった的なエナジーも凄いです。 このアルバムのA面は他の作品に比べ、キースとジョンの曲の比率が 高いのですが(カネの問題のせいとか言われていますね)、それがかえって『ザ・フー』としての魅力の幅広さのアピールに繋がったのだと思います。全編に渡る優れた歌メロは、本当にいつまでも聴き続けて いられる一枚です。 私はたったの25年しか聴いてはおりませんが、まだまだイケそうです。 今でも圧倒的なパワーで誰しも乗越える事ができていない60年代 ブリティッシュ・ロックですが、このムーブメントを生み出した一因に、イギリスの『不況』があったとも言います。100年に一度とも言われる この『不況』時代に突入した今、このパワーに勝る新たなカルチャー・ シーンの登場があるか!?と期待しつつ2009年もよろしくお付き合い 下さい。 (2009.01.10) |